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オーストラリアの戦略的船隊が海運の重要性を実証

ニュース 04 Jun 2024

国際運輸労連(ITF)は、アルバネーゼ政権の第3次予算において、オーストラリア戦略的船隊への投資が発表されたことを歓迎する。 

豪州戦略的船隊は、2022年の連邦政府選挙の重要な公約であり、 オーストラリアのような主要島嶼国の経済における海運と貨物輸送の重要性に焦点をあてるものだ。 

戦略的商船隊の設立を支援するため、2024年から25年までの5年間で2,170万ドルが投資される。この戦略的船隊は、まず、必要な時に政府が徴用できる3隻の船舶から成る最初の試験プログラムを通じて実施される。 

同試験プログラムへの参加申請は今年後半に開始され、第一の船舶は可能な限り早く運航を開始する予定だ。  

ITFのスティーブ・コットン書記長は、 「アルバネーゼ首相が現在表明している公約は、オーストラリア政府が、グローバル・サプライチ ェーンの強靭性、国家主権、国防能力、さらにはオー トラリアのような国際海運への依存国にとってのカボタージュの経済的・社会的重要性を理解していることを示している」と述べた。  

新型コロナウィルス感染症の世界的大流行を受け、世界各国の政府は、港湾の渋滞、労働力不足、主要港における国内および国際貿易を維持するためのインフラ整備の必要性など、サプライチェーン関連の大きな課題に対応している。コロナ禍で、市場が歪められたら何が起こり得るのか、その影響が示された」 

「多くの国で、国内で所有・運航される船隊が、サプライチェー ンの能力を補い、自国籍船を利用して貨物を輸送している。この戦略的な能力により、海運業界は船舶を利用して、より内陸に位置する小さな港に貨物を運んだり、最終目的地まで鉄道や道路を通じて内陸に貨物を運ぶことも可能だ。これにより、主要港やインフラへの圧力が大幅に軽減されたが、これは、これらの国々のカボタージュ制度によって可能になったのだ」とコットン書記長は述べる。 

2024年のオーストラリア予算案では、オーストラリア経済の複雑かつ不透明な展望に世界が注目しており、地政学的緊張の激化が国際貿易ルートと国際海運サービスへのオーストラリアのアクセスをさらに混乱させる可能性があるとの見解が示されている。  

海運業はオーストラリアの社会的・経済的幸福に不可欠であり、輸送量としては99%、金額にして約79%の貨物輸送を担っている。しかし、202212月現在、2012年の沿海貿易法に基づく一般免許を保有する2,000重量トン(DWT)以上のオーストラリア船籍で、かつオーストラリア人船員が乗り組んでいる船舶はわずか11隻しかない。これは、2021年中にオーストラリア発着の外国籍船504隻が2,309回の航海を行ったのとは対照的である。  

オーストラリアが再生可能エネルギーへの依存度を高めるにつれ、エネルギー輸出と国内エネルギー供給の輸送ニーズが変化し続ける中、オーストラリアの戦略的船隊はますます重要になる。これには、重要鉱物の精製と輸送、再生可能な水素、グリーンメタル、低炭素液体燃料の輸出、さらには世界への輸出に向け、クリーン・エネルギーの生成インフラをつくる新たな製造業の支援も含まれる。 

戦略艦隊はまた、危機や紛争時の防衛能力を強化するものでもあり、揚陸、重要な輸送能力、シーレーンの安全確保は、豪州沿海における戦略上の重要な問題だ。 

カナダの船員組合、SIU財務部長で、ITFカボタージュ・タスクフォース議長のクリス・ギブンは、 「戦略的船隊の設置は、オーストラリアの戦略的態勢を強化するためにアルバネーゼ政権が進めている他の取り組みを支援・ 補完する国家安全保障上の措置だ」と述べる。  

「海上輸送を外国所有船舶が完全に占有している状況に対抗し、国防のための海上輸送のニーズを満たし、シーレーン確保のための能力を提供するため、オーストラリアは国内の海運能力強化を必要としている」戦略的船隊構想により、遠隔地や地理的に分散した地域社会への物資の供給や、製造用原材料の供給源が遠隔地にあるという地理的な課題に対応し、オーストラリアの船員労働力に求められる要件を満たし、基本的な内航海運力が提供される」とギブン議長は補足した。 

今回の予算に関する発表に続き、戦略的船隊タスクフォースによる入念な計画と報告書作成が開始した。同タスクフォースには、MUAを代表するパディ・クラムリン書記長の他、産業界、国防省、労働界の代表が結集し、オーストラリア海運の再活性化と拡大のため、政府が計画する、オーストラリア人船員が乗り組む最大12隻のオーストラリア籍船から成る船隊の構成、構造、能力について助言を行うことになる。 

また、同予算では、今年後半に開始される2012年沿海取引法(オーストラリア海運活性化法)と、1981年海運登録法の見直しに470万ドルが、また、フェアワーク・オンブズマンが船員の最低賃金の遵守状況を監視するための試験プログラムに270万ドルが充当されている。  

オーストラリア政府の戦略的艦隊タスクフォースが把握した主要なニーズ:  

同タスクフォースによって、オーストラリアの経済的・社会的安全保障に不可欠であると把握された戦略的ニーズは以下の通り:  

  1. オーストラリアの製油所または輸入ターミナルから、オーストラリア北部の地方港や遠隔地の港を含むオーストラリアのエンドユーザーへの石油精製品の沿海輸送。  
  2. 自然災害やその他の混乱により、オーストラリア各地や太平洋の近隣諸国への主要物資の供給に影響を及ぼす場合、独立した貨物オペレーション(自身での貨物の陸揚げと積み下ろし)を実施する。  
  3. オーストラリア北部への車両、設備、貯蔵品の輸送を通じて、国防または国家動員を促進する能力を強化する。  
  4. 短期的な小さな障害に対処するため、オーストラリアの港間でコンテナ貨物の内航輸送を行う。  
  5. プロジェクト貨物や規格外貨物の国内外への輸送。  
  6. 国内製造業の主要材料であるドライ貨物や非液体バルク貨物の沿海輸送。  

写真提供ロイター通信/デビッド・グレイ

 

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