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ITFは労働者と乗客にとって安全な空港を求める

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 コロナ禍は誇張されている。業界の細分化や下請け・外注による非正規雇用の拡大など、空港労働者が現在直面している問題はコロナ禍が生み出したわけではない。今日、コロナ禍で多くの労働者が勤続年数にかかわらず一時解雇され、何の補償を受けることもなく、生計手段を失っている。

 既存のビジネスモデルや雇用モデルはもはや目的に合致せず、労働者にとっても乗客にとっても適したものとは言えない。

 下請けや外注は、コロナ禍において求められる安全衛生措置の実施・評価も妨げている。空港において、搭乗客はチェックインからセキュリティ・チェック、ボーディングまで、他人と接触する地点をいくつか通過しなければならない。労働者も乗客も、下請業者を含む全ての業者が適切な安全措置を講じているという保証を求めている。   

 乗客と市場の信頼を取り戻すためには、空港の新型コロナウイルス感染対策に関するグローバルな戦略(対策の標準化や実施のための資源確保を含む)が必要だ。安全衛生基準の履行・監督を最も効果的に実施できるのは労働者と労働組合だ。よって、安全衛生に関する、標準化された三者構成の体制を空港全体で導入する取り組みがなされなければならない。

 航空と空港は、経済発展、貿易、モビリティや社会にとって重要な公共財とみなされなければならない。そのためには、強固な規制、監督、計画、投資、そして(適切な場合は)公的所有が必要となる。空港運営における民間部門の関与を部分的あるいは全面的に政府に戻すことで、航空の安全・保安の最終責任を政府がコントロールできるようになるだろう。 

 国、地域、世界の市場をつなぐ空港は経済発展にとって不可欠な存在だ。   コロナ禍の影響は小規模空港の財政により重くのしかかるだろう。小規模空港が経済的に打撃を受ければ、経済発展だけでなく市民生活に不可欠なサービス(救急輸送機等)を空港に依存する地方の脆弱なコミュニティーも打撃を受けることになる。地域の重要なハブとしてそれらな空港を守るための投資は、良質で安定した雇用の確保を条件に実施されるべきである。

 企業や労働組合が緊密に協力することを基本に、各国政府がリーダーシップを発揮することが現在の課題に対する唯一の解決策だ。そこで、ITFは各国の政府、空港当局、企業に対し、労働組合と以下について協議することを求める。

 

空港の労働者と乗客の安全衛生の確保

  1. 使用者は、全事業およびサプライチェーンにおける全労働者の健康、安全、福利に対して最終的な責任を負うことを認識するとともに、新型コロナウイルス感染症を職業病と認める。
  2. 労働者、特に接客業務に従事する労働者と乗客を感染から守るために、ジャンダー平等の個人用保護具労働者と乗客に提供するとともに、空港入場の際のマスク着用を義務化する。
  3. 全労働者ヘルスケア、医療検査、手当、研修、研修施設を無料で利用できるようにする。
  4. 新型コロナウイルスに感染した、あるいは感染のリスクがある労働者や介護の責任を負う労働者に対し、有給休暇有給の病気休暇の形での休暇を初日から保障する

 

乗客の安全を守る労働者の権利保護

  1. 結社の自由、団体交渉、強制労働、差別、職業安全衛生に関するILO条約を全労働者を対象に実施するとともに、労働組合権の保護や、ジェンダー、在留資格、LGBT+の問題への対応を行う。
  2. 労働者の健康、権利、福利に対する脅威や新たな圧力を特定するとともに、職場における対策(ソーシャルディスタンスの手順の標準化を含む)を考案、実施する。
  3. 労働者が懲罰や解雇を恐れることなく、職場におけるリスクや労働者の安全衛生に対するリスクを報告するための適切かつ安全な手段の確保
  4. 労働者が報復を恐れることなく、自身および近親者の生命や健康に差し迫った深刻な危険を及ぼす労働から撤退する権利を尊重する。

 

賃金、労働条件、雇用を守る

  1. 労働者と乗客の安全衛生と福利を守るため、空港やサプライチェーンにおいて、不安定かつ非標準的な雇用形態を終了させ、全ての一時解雇を凍結させることに合意する。
  2. 労働者の雇用と安全衛生を守るため、シフトや勤務日、労働時間面の改善を行う。
  3. 組合との協議を通じて既存の労働慣行を分析し、必要に応じ、乗客との接触を最小限に止めるための改善を行う。
  4. 空港労働者の重要な任務を認識、評価し、報酬増加や条件向上(負傷または死亡の場合の補償を含む)を通じて補填する。

 

経済的・財政的な持続可能性の確保

  1. 機会が訪れた時に、業界の安全かつ効率的な回復を実現するために、コロナ禍においても空港の運営を維持する。
  2. 空港、特に経済および社会の発展を空港に依存する地方の小規模なコミュニティーにおいて重要な役割を果たしている空港経済財、公共財として認める。
  3. 空港業務の下請けや外注を減らし、適切な場合は、空港当局が全ての空港労働者を直接管理・雇用することを命じる。
  4. コロナ禍に関連する全ての技術開発の協議に組合を関与させ、女性にも平等な利用と機会を確保する公正な移行を実現する。
  5. 空港事業者のための持続可能な経済的救済・支援を確保する。

 

リーダーシップと責任を確保するための協力

  1. 空港全体を対象する三者構成(女性・青年代表を含む)の安全衛生委員会を設置し、安全衛生基準・対策を労働者が理解、監視、実施、評価できるようにする。
  2. 空港全体を対象とする三者構成の安全衛生委員会、航空会社、労働組合と協力しながら、空港および航空のための国際的な安全衛生基準・戦略ICAOと共に策定する。

 

 これらの対策は労働者の職務内容や雇用形態、雇用契約に関わらず実施されるべきであり、性別や移民かどうかなどの特性も考慮したものでなければならない。

 各国政府および企業はこの危機に対する国際的な対応を調整し、グローバル経済の回復期に向けて航空業界の準備を進めるための適切な議論の場としての国際民間航空機関(ICAO)の場を通じて、ITFやその加盟組合とも協力すべきだ。

 

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