Skip to main content

新型コロナウィルス 船員と乗客の健康を守る旗国の責任

ニュース

 新型コロナウィルスの影響が、海運産業、特にクルーズ産業に急速に拡大し、メディアにも大きく取り上げられている。

 先月、ダイアモンド・プリンセス号 が横浜港で隔離され、世界の注目を集めた。先週、グランド・プリンセス号 の一部の旅客と乗員に感染が疑われたため、カリフォルニアで入港を拒否された。

 今週、ブレーマー号 はカリブ海の複数の港から入港を拒否され、立往生した後、キューバに入港を受け入れられた。運航会社のフレッド・オルセン・クルーズライン社は、ブレーマー号がハバナ沖5マイル付近に停泊し、英国からのチャーター機を待ち、英国籍の乗客・乗員のみ下船させる予定であることを確認した。残りの乗客・乗員の下船の見通しは未だに立っていないようだ。 

 英ガーディアン紙 は、ロアール・アムンセン号 がチリから入国を拒否され、乗客のオーストラリア人医師を含む医療関係者100人がチリの沖合で立ち往生していると報道した。

 ITFのデイブ・ヘンデル船員部会議長は、この人道危機において、旗国が船員と乗客の健康を守る責任を果たしていないと訴えた。

 「グランド・プリンセス号とブレーマー号の入港を拒否したバミューダとバハマは、問題を是正する立場にある旗国としての責任を果たしていない」

 「これら二隻のケースにおいては、米国とキューバが運航会社と直接連絡を取りながら、問題の是正に努めた。しかし、船舶に乗り組む船員の支援をめぐる旗国の責任についてはほとんど注目されていないし、言及もされていない」

 国際法上は、乗員と乗客、そして影響が及ぶかもしれない市民全般の健康と安全に責任を負うのは旗国政府だ。船舶の管轄権を有するのは旗国だ。旗国は運航会社に国内法および国際法を遵守させる立場にある。

 「船舶に管轄権を行使できるのは旗国である。しかし、新型コロナウィルス感染が確認されたクルーズ船に関しては、入港国、乗客・乗員の母国政府、そして第三国に責任が及んでいる。例えば、 ブレーマー号 は、旗国の領海への入港を拒否され、キューバから入港許可をもらって、やっと乗客・乗員を下船させることができた」とヘンデルは続けた。 

 「こんな馬鹿げた話はない。このような制度は持続不可能だ。FOC制度が現在の形で維持されるのであれば、その欠陥が指摘されるべきだ。新型コロナウィルスから労働者を守り、感染予防策を講じる方針や責任能力が旗国には欠如していることを懸念すべきだ」とヘンデルは言う。

 世界の船員や港湾労働者を組織するITFは、自国の船舶内の全ての労働者と乗客、特に何か月間も船内で労働・生活する船員の健康と安全に対して責任を負うよう旗国に訴えている。

「交通運輸労働者の健康を守ることは我々の最優先課題だ。ITFは引き続き乗客のみならず船員や港湾労働者の健康・安全の確保と旗国の責任を訴えていく」とヘンデルは語った。

 

Post new comment

Restricted HTML

  • Allowed HTML tags: <a href hreflang> <em> <strong> <cite> <blockquote cite> <code> <ul type> <ol start type> <li> <dl> <dt> <dd> <h2 id> <h3 id> <h4 id> <h5 id> <h6 id>
  • Lines and paragraphs break automatically.
  • Web page addresses and email addresses turn into links automatically.

現場の声

ニュース

LGBT+の労働者は組合に誇りを持っている

 「一人に対する攻撃は全員に対する攻撃だ」 この原則は交通運輸産業の労働者を含む世界中の労働者の運動を何世代にもわたって鼓舞してきた。レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、その他クィアの労働者は、労働組合運動において常に重要な役割を果たしてきたが、近年になってようやく、彼らの貢献と彼らが職場で直面している問題が認識されるようになった。  ITF はまず
ニュース

チリの労働運動に大きな打撃

 国際運輸労連 (ITF) はチリの全国鉄道旅客貨物輸送労連 (FNTF) のホセ・ ボニン委員長の死去にショックを受け、悲しみに暮れている。  ボニンは 6 月 20 日未明、列車二台の正面衝突事故の犠牲となった。銅 1,346 トンを積載した貨物列車を運転していた。  初期の報道によると、チリ国鉄 (EFE) の試運転列車と私鉄フェパサの貨物列車が衝突した。  ITF のスティーブ
ニュース 記者発表資料

不透明な船籍ビジネスの代償を払わされる船員

紅海で発生した事件は、「便宜置籍船」の増殖を許すことの危険性を示している。 ITF マリタイム・コーディネーターの ジャクリーン・スミス – アルジャジーラ による報道。 4 月 13 日、イラン・イスラム革命防衛隊の海軍部隊が、ホルムズ海峡でポルトガル船籍のコンテナ船、 MSC アリエス号を拿捕し、乗組員を拘束した。本船はスイスに本社を置くメディタレニアン海運会社が、イスラエルの大富豪エアフ