ITF協約中の港湾荷役条項が今日、カナダと欧州で発効する。一般に「港湾荷役条項」として知られる条項について多くの議論がなされてきた。そこで、荷役条項とはどのような条項か、この条項がITFに加盟する港湾労組にとって何を意味するのかを正確に振り返ってみたい。
まず、いわゆる最初に遡ろう。
- ITFポリシーでは、船員の組合が自国が受益所有する、いわゆる便宜置籍(FOC)船に関するITF条約を締結する権利をもつ。ITFが締結する団体協約はFOC船で働く船員に適用され、ITFが承認できるよう、一定の原則に従わなくてはならない。
- そのようなITF承認協約は国際海事使用者委員会(IMEC)に所属する海運界の代表者と交渉の上、締結する。ITF加盟組合とITF書記局が船主との交渉に臨む交渉委員会を結成する。ITFが率いる交渉委員会がIMECを相手に、いわゆる国際交渉フォーラム(IBF)において労使交渉を行う。 ITFの交渉委員会はITFに加盟する船員組合や港湾労組から交渉に関する指導を受ける。
- ITFが5年にわたり、ラッシングを港湾労働者の手に取り戻す運動を展開してきた結果、2018年2月19-22日に、ITFと船主側の合同交渉グループ (JNG)が新たなIBF協約に合意した。新協約にはラッシングその他の荷役サービスを港で行う港湾労働者の権利を明記した、修正港湾荷役条項と、新たな実施のプロセスが包括されている。
- 修正港湾荷役条項は、欧州とカナダの2つの例外地域を除き、2018年2月に全世界で発効した。欧州とカナダについては、修正港湾荷役条項が2020年1月1日から発効することが合意された。これにより、該当する船舶運航会社や船会社、とりわけフィーダーサービスの提供会社に必要な調整を行う猶予が与えられた。
長らく待たされたが、ついにその2020年が到来した。
修正荷役条項の実際の文言をもう一度振り返ってみよう:
『船員および船舶に乗船するいかなる者も、会社との終身雇用または期間雇用を問わず、ITFに加盟する港湾組合が荷役サービスを提供している港やターミナル、あるいは船内において、荷捌き作業を実施してはならないものとする。資格を持った十分な数の港湾労働者がいない場合は、ITF加盟港労組または関係するITF加盟組合から事前に認められた場合に限りまた、その作業に進んで従事する個々の船員が資格を有し、適切な補償を得る場合に限り、船舶乗組員が荷捌き作業を実施することができる。本条文における荷捌き作業とは、以下の事柄を含むが、これらに限るものではない:積荷、揚荷、固縛(ラッシング)、荷解き(アンラッシング)、検査、受取り』
この荷役条項はITF承認協約(世界に約1万5千存在する)が適用される船舶に乗り組む全ての船員と、全世界でラッシングの権利を主張するITF加盟の港湾労組に適用される。
同条項は極めて重要であり、修正版は既存の文言をさらに強化したもので、勝ち取るのに多くの労力を要した。ITFに加盟する港湾労組が粘り強く交渉で主張したために実現したものだが、港湾労組には当然その権利がある。
荷役条項では、ラッシングという危険な業務は訓練を受けた熟練港湾労働者が遂行することが重要である点が認識されている。修正条項により、特に欧州のフィーダー船でラッシングをさせられている船員の疲労問題が解決するだろう。一部の船主が船員や港湾労働者を依然として搾取している現状において、これは船員労組と港湾労組の双方にとっての勝利である。
自動化で将来が見えず、相変わらず職域を守るための闘いを強いられる中、ラッシングは港湾労働者の仕事であると、ITFは声を大にして主張したい。各国での「ラッシング奪回運動」では、依然として一部困難が予測されるが、ITFと加盟組合は闘う決意を固めている。勝利すること以外、この闘いに許容できる終わり方はない。
欧州やカナダのモントリオール港では、港湾労組が既に闘いの準備を開始した。ITFインスペクターも荷役条項の実施を支援する決意だ。
船員が港湾労働者の仕事をしているのを目撃した場合は、あるいは船が港に到着した時点で積み荷のアンラッシングがされていた場合は、皆さんの組合や地元のITFインスペクターに連絡して欲しい。ITFのインスペクターは全員、こうした問題の解決に関して訓練を受けており、港湾労働者の職域であるラッシングを守ることができる。
一丸となって、港湾労働者の仕事を守り、港を守り、世界中で輸送される貨物を守っていこう。港湾労働者は世界中で大変な重労働をしているのだ。
Post new comment