2007年にILO第188号条約が採択された後、ITFや他の労働者団体は、タイ政府に同条約の批准を求める運動を活発に展開した。タイ政府は、2018年12月29日に同条約の批准を決定、今年1月に正式に批准した。同条約の批准は、アジア初だった。
漁船の労働基準を定める第188号条約のタイ政府による批准は、水産サプライチェーンにおける労働者搾取撤廃の重要な一歩として歓迎された。タイでは、違法・無報告・無規制(IUU)漁業慣行が組織的に行われ、労働者の権利や人権の侵害が明るみになっていたからだ。
しかし、タイ政府は同条約の履行に関して、「労働安全衛生、船上や陸上における医療、休息期間、書面による労働契約、社会保障による保護」等、拘束力のある規定を効果的に実施していない。
オスロで開催されたITF水産部会委員会は、タイ政府がより厳格な査察および執行規定を導入し、漁船員の適正な労働・生活条件を確保するために、国内法を整備することを要請した。
また、タイの労働条件改善を目指す運動の継続を確認した。タイ政府は、外国人労働者が独立的・民主的な組合を自由に設立、加入する権利を認めるとともに、外国人労働者を含む全ての労働者を保護するために必要不可欠なILO第87号および第98号条約を批准するためのさらなる措置を講じる必要がある。
ITFのジョニー・ハンセン水産部会議長は次のように語った。「全ての労働者は、国籍や入国資格にかかわらず、労働組合を結成し、団体交渉をする権利を持つべきだ。水産部門でディーセントな労働条件を促進、実現するためには、組合を結成する権利の確保が重要だ」
「第87号、第98号、第188号条約の批准、国内法の整備と効果的実施が実現しなければ、漁船員は強制労働を含む虐待のリスクに晒され続けるだろう」
これらが実現すれば、水産会社は、労働者の結社の自由や団体交渉権を尊重し、消費者や市場が求める労働・環境基準に基づき、サプライチェーン全体で改革を進めるだろう。
問い合わせは、ルーク・メンジーズまで(+61 433 889 844、menzies_luke@itf.org.uk)
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