COP27に関するITFの報告書:各国政府は交通運輸労働者と同じレベルの意欲を見せるべき
ITFは新たに報告書を発表し、各国政府が気候危機問題を最優先課題して位置づけ、気候危機が引き起こす混乱の中で労働者を保護する必要性を訴えた。
COP27ITFは、11月6日からシャルムエルシェイク(エジプト)で開催される気候変動に関する国連会議(COP27)に先立ち、各国政府・使用者に対する要求を記載した報告書「Climate justice, worker justice(気候の正義、労働者の正義)」を発表した。
ITFのスティーブン・コットン書記長は次の通りコメントした。「世界を動かし続けている労働者たちは、COP27で各国政府がリーダーシップを発揮することを求めている。彼らの要求は明確だ。気候変動問題に対する意欲向上、気候資金の達成、レジリエンス(強靭性)の強化、交通運輸部門の公正な移行計画へのコミットメントだ」
気候変動問題に意欲的な労働者
交通運輸部門からの温室効果ガス排出量は全体の15%を占めている。COP27において、労働組合は、交通運輸のカーボンニュートラルが実現し、労働者と労働者の生活が守られている新しい世界に向けて、労働者主導の公正な移行を要求する。
コットン書記長は続けた。「気候危機に対して最も意欲的な目標を掲げているのは、政府や運送会社ではなく、労働者だ」「ITFは、海運から公共交通まで、あらゆる交通運輸業界と連携しながら、脱炭素化と同時に雇用や公正な移行を優先させる交通運輸計画の実現を目指している。
「しかし、インフラやサービスへの投資が行われなければ、目標を達成することはできず、壊滅的な影響は避けられない」2030年までに世界の排出量を45%削減し、2050年までにカーボンニュートラルを実現することは、絵空事ではなく、気候危機を乗り切るために達成しなければならない目標だ」
この報告書は、交通運輸への持続可能な投資が国家経済と交通運輸労働者に大きな利益をもたらすことを説明している。例えば、ITFとC40が行ったモデリングによると、ヨハネスブルグ(南アフリカ)の公共交通に投資すれば、54,000人の直接雇用と73,100人の間接雇用が創出される。
「交通運輸労働者が意思決定プロセスに参加する必要がある。労働者は気候変動やその影響について、直接的な経験を持ち、公正な移行を促進する専門的な知識がある。我々は交通システムを未来に適合させる責任感を持っている。各国政府の計画や資金調達が必要な規模になるまで野放しにしておくわけにはいかない」
今年、国土の三分の一を水没させる洪水が発生したパキスタンでは、交通運輸労働者はずっと働き続けている。欧州では過去500年で最も暑い夏が到来し、交通運輸労働者も熱波に苦しんだ。また、フィリピンと米国では激しい暴風雨が混乱をもたらした。
「先進国は、支援を必要とする開発途上国に年間1000億ドルの気候変動に関する資金援助を行うという約束を果たすことができなかった。単に行動を起こさなかっただけである。今から不足分を補う必要がある。気温上昇を1.5℃に抑えられなければ、我々は破滅する」
「この目標を達成し、交通運輸の真の変革を実現するためには、投資がカギとなる。投資を促し、企業の責任を追及するために政府が直ちに行動を起こさなければ、我々は皆、窮地に立たされる」
COP27におけるITFの要求
- 気候変動問題に対する意欲の向上
1.5℃の目標を維持するために交通運輸の脱炭素化に取り組み、2030年までに排出量45%削減、2050年までにカーボンニュートラルを実現するために、交通運輸の官労使が協力して、役割を果たさなければならない。
持続可能な航空燃料、水素、代替燃料、電化によって、エネルギー転換を早急に進める必要がある。
- 気候資金に関するコミットメントの実現とレジリエンス・ギャップの解消
1,000億ドルの資金援助を実現し、持続可能な交通インフラおよび交通サービスへの投資を拡大し、交通インフラの損失・損害に対する資金を確保し、労働者の条件を改善すべきだ。
政府は、将来の気候の現実に見合ったレジリエントな交通システムや労働環境を構築する適応計画の策定を促進し、そのための資金を確保すべきだ。
- あらゆる交通運輸部門の公正な移行計画
交通運輸を公共財として位置づけ、政府の行動や民主的統制を通じて、組合に組織された雇用と公正な移行を実現すべきだ。気候変動資金に関する新たな協定に、公正な移行に関する基準を盛り込ませよ。
主な交通インフラ(都市交通、鉄道、航空)の公有化を交通運輸計画の中核とすべきだ。