- 韓国のトラック運転手のストが5日目に入る中、ITFは韓国政府による労働者の権利侵害を終わらせるために、ILOおよび国連の緊急介入を要請した。
- スト中のトラック運転に対する韓国政府の厳しい対応は、ITF、韓国の学識者、弁護士、市民社会、国際社会から強く非難されている。
- 運転手らは道路の安全を確保する「セーフレート」法の維持・ 延長を要求している。政府は6月にいったんこの要求に合意したものの、実行していない。
ストに対する韓国政府の措置に国際社会の関心が高まる中、ITFは11月28日に韓国民主労働総連盟(KCTU)および韓国公共サービス交通運輸労組(KPTU)とともに、ILO事務局長および国連平和的集会・結社特別報告者に要望書を提出し、合法ストに参加しているトラック運転手を代表し、労働者の権利に対する深刻な侵害を防ぐための緊急介入を要請した。
11月24日の深夜に開始されたこの全国ストは、韓国政府が「セーフレート」法の約束を履行するまで継続される。ITFに加盟するKPTUトラック連帯部門(KPTUトラックソル)は去る6月、政府が「セーフレート」法の維持・延長に合意したため、ストを中止した経緯がある。この法律は、安全かつ公正な賃金の基準を定め、交通死亡事故の減少を目指すものである。今回のストは、政府が約束を反故にしたため、実施された。
ITFのスティーブン・コットン書記長は次のように語った。 「尹錫悦大統領を含め、韓国政府は、ストが始まる前からストを『違法』 かつ『不当』と決めつけ、労働者を刑事告発すると脅してきた。そして今、極度の非常事態にのみ発動されるべき規定を発動し、トラック運転手に労働を強制することを検討している。しかし、このストは正当性がある。労働者は、今年末に失効を迎える法律の維持・延長はトラック運転手だけでなく、すべての道路利用者のためになると訴えている」
韓国政府はスト現場に大勢の警察官と軍用車を配置するとともに、代替労働力を投入し、11月29日に予定されている閣議で運転手を強制的に職場に戻す「職場復帰命令」の発令を検討することを発表した。命令に従わない場合は、最長3年の刑期または重い罰金の処罰を受ける。組合関係者によると、早ければ明日にも命令が出されるという。
「このような命令は市民的自由と結社の自由の極度の侵害である。強制労働に等しい。国際社会は韓国政府がこのような抑圧的措置を講じるのを黙って見ているわけにはいかない。ILO事務局長および国連特別報告者が事の重大性を理解し、さらなる権利侵害を防ぐために迅速に介入することを確信している」 とコットン書記長は続けた。
韓国は労働者の権利に関するILO第87号条約と強制労働に関するILO第29号条約を批准している。
つまり、韓国政府はこれらの人権を明文化したこれらの条約を遵守する法的義務を負っており、著しく無視することは許されない。
ITFのルワン・スバシンゲ法務部長は次の通り説明した。「ILO第87号条約は、トラックソルのオーナー・ドライバー組合員のような自営業者を含むすべての労働者の権利を保護するものだ。また、自らの選択で団体(組合を含む)を設立し、加入する権利を保障している。スト権はこれに本質的に付随するものであり、韓国政府はこれを尊重すべきである。刑事罰を伴う職場復帰命令は、強制労働に関するILO第29条号条約に反する。このトラック運転手のストが、強制労働が許される『国家の非常事態』の条件を満たしていると主張するのは馬鹿げている。このストは理にかなった目的を持つ合法的なストである。大韓民国憲法は結社の自由と強制労働から解放される権利を保護している。韓国政府がこれほどあからさまに国際法と国内法の両方に違反するとは驚きである。
KPTUトラックソルは職場復帰命令に応じるつもりはないことを明確にしている。
KPTUトラックソルのイ・ボンジュ委員長は次のように語った。「政府がスト終結を望むのであれば、約束を守り、多くの部門をカバーする恒久的なセーフレート制度の確保に合意すべきだ。このようなイジメ戦術で得られものは何もない」