英最高裁が19日、ウーバーの運転手は自営業者ではなく、労働者であるとの判断を下したことを受け、交通運輸労働者2千万人を組織する国際産別労働組合組織の国際運輸労連(ITF)は、ウーバーに搾取的なビジネスモデルを止めるよう呼びかけた。
最高裁が全会一致でウーバーの主張を退けたことで、ウーバーは上訴審を含む4度の裁判全てで敗訴し、長期におよぶウーバーの法廷闘争は終結した。
ITFのスティーブ・コットン書記長は、最高裁の画期的な判決を歓迎し、ウーバーに対して、アプリの背後から姿を現し、世界中のドライバーやライダーを保護するよう呼びかけた。
「原告とその弁護団らを祝福したい。この判決は、ギグエコノミーにディーセントワークを確保するために闘っている全ての労働者にとっての勝利だ。英国の裁判官は、四度目の最終判断においても、ウーバーのねじ曲がった偽りの契約用語を無視し、ウーバーがドライバーを誤分類していると結論付けた」とコットン書記長は語った。
約1年前、フランスの最高裁でも、ウーバーの運転手は従業員であるとの判断が下されている。
「ウーバーをはじめとするギグエコノミーの企業は、従業員を独立請負人に誤分類しようとしているが、直接的な雇用関係を認める判決が次々と出されている。流れは変わりつつある」
「ウーバーは略奪的なビジネスモデルや好戦的な法定戦略・規制戦略を放棄し、自社のドライバーやライダーが権利や保護を当然享受すべき労働者であることを認めるべきだ」とコットン書記長は続けた。
この判決は、ウーバーのドライバーにとって、国の最低賃金、有給休暇、有給病気休暇、違法な差別からの保護、団体交渉権などの労働者の基本的権利をついに享受できることを意味する。
「ウーバーは労働者の声に耳を傾け、労働組合と意義ある対話を行い、ギグエコノミーの未来が全ての人に利益をもたらすようにすべきだ」とコットン書記長。
英最高裁は、労働者の地位について判断を下す上で考慮した次の5つの要素を強調した。
- ウーバーが運賃を設定している。
- ドライバーは契約条件に関して発言権がない。
- ログオン中のドライバーの乗車リクエスト承認・拒否の選択は、ウーバーからの制約を受ける(リクエストを拒否するとペナルティが課せられる)。
- ウーバーはドライバーのサービスを大幅に管理統制している(ドラーバーはレーティング(評価)が低いとディアクティベート(アカウント停止)される)。
- ウーバーは乗客とドライバーのコミュニケーションを必要最小限に制限している(ドライバーと乗客の間で契約を結ぶことはできない)。