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もう黙ってはいられない:限界に達するタグボート労働者

ニュース 記者発表資料

2022年3月29日 ロンドン/ブリュッセル

 昨年、トロイ・ピアソンとチャーリー・クラッグは、氷のように冷たい強風の海で、リオティント発電所に向かうはしけを曳航しているときに命を落とした。二人は危険な状況下で働くよう圧力をかけられていた。

 ITFは3月28日、ピアソンの死とタグボート業界の人的コストをめぐる危機的状況を明るみにする短編映画「警鐘を鳴らすタグボート労働者」を発表する。

 昨年、トロイ・ピアソンとチャーリー・クラッグは、氷のように冷たい強風の海で、リオティント発電所に向かうはしけを曳航しているときに命を落とした。二人は危険な状況下で働くよう圧力をかけられていた。

 ITFは3月28日、ピアソンの死とタグボート業界の人的コストをめぐる危機的状況を明るみにする短編映画「警鐘を鳴らすタグボート労働者」を発表する。

 この短編映画と合わせて発表された新しい報告書は、業界の整理統合や大手船社のカルテルまがいの行動によって、安全性や労働条件が急激に悪化している実態を明らかにしている。

 「トロイ・ピアーソンとチャーリー・クラグ の死は悲劇だ。しかし、悲しいことに、これは珍しいことではない。タグボート業界に家族の命を無駄に奪われた者は大勢いる。今日、トロニーとチャーリーの他、職場で命を落としたすべての労働者を追悼する。二度とこのようなことがあってはならない」とITFのスティーブ・コットン書記長は語る。

 「心を込めてこの映画を上映する。トロイの妻のジュディーの言葉を借りれば、組合として、この危機的状況に対して警鐘を鳴らさなければならない。このような不正が蔓延り、何も変わらなければ、人命が奪われ続けるからだ」

 コットンは、メディアの注目を集めた、コロナ禍におけるサプライチェーン危機の次の局面はタグボート部門で発生するかもしれないと警告した。船社は「海運アライアンス」への統合で手に入れた影響力を活用して、危険で持続不可能なレベルまで曳船料を引き下げようとしていると警告し、次のように続けた。

 「海運界の統合はタグボート業界の統合を引き起こしている。料金切り下げと港内競争の圧力に耐えられる運航事業者はどんどん少なくなっている。例えば、欧州ではここ十数年でタグボート大手が10社から3社に減った。そのうち2社は海運最大手に所有されている」とコットン書記長は説明する。 

 ITFの報告書「底辺への競争を阻止する」は、海運アライアンスからの値下げ要求で入札環境が悪化し続けていることや、労働法制が脆弱なために、タグボート運航事業者が保守、安全、人件費の予算を削ることで生き延びようとしていることを明るみにしている。

 「この調査報告書はタグボート業界の危機的な現状を明るみにしている」とETF曳航委員会のジャック・カークコフ議長は語った。 

 カークホフ議長は、現行の入札環境において、安全衛生基準が引き下げられ、労働者の賃金・労働条件が攻撃されるのに長い時間はかからなかったと指摘し、次のように語った。

 「会社が長い間維持してきた団体協約を破棄しようとしている。死傷者も増えてる。多くの労働者が独立請負業者に位置づけられている。会社はフリート更新のための投資や保守費を減らし、マンニングレベルまで切り下げようとしている」

 「職場の事故が深刻なまでに増加しているのも驚かない。安全を確保できないマンニングレベルももはや珍しいものではない。法定休憩時間も守られていない。労働者はストレスや疲労を蓄積させている」「圧力をかけられているタグボート労働者は限界に達しようとしている。人命、環境、グローバルサプライチェーンに対するリスクは大きい」

 ITFのユーリー・スコルホフ議長は、エバー・ギブン号の座礁から1年が経過した今日、業界と政府は世界のサプライチェーンを動かし続ける上でタグボート労働者が果たしている役割を認識する必要がある述べた。

9日におよぶ離礁作業の末、2021年3月29日についに離礁に成功したエバー・ギブン号。そこにもタグ労働者の姿があった。

 「1年前の今日、世界最大級のコンテナ船、エバー・ギブン号の離礁が成功したのは、タグボート労働者によるところが大きい。1日あたり96億ドル相当の貨物運送の遅延が発生し、グローバル経済に巨額の損失を与えた。「通常のコンテナ船の入出港やパナマ運河の通行の際、タグボートが必ず必要となる。労働者が限界に達してしまったら、その代償は計り知れない。

 国連グローバルコンパクトの理事を務めるITFのスティーブ・コットン書記長は、コンテナ船社やその顧客、タグボート運航事業者、規制当局に対して、ITFおよびITF加盟組合と協議し、運航事業者にとって持続可能で、公正で安全な労働条件を確保する料金について合意するよう促し、次のように語った。

ユナイトに所属するティーズポートのタグボート労働者はスビッツァーの行動に抗議するために、親会社のマースクグループの株主総会に出席すべく、コペンハーゲンに向かった。

 「この底辺への競争が労働者や港湾コミュニティーにどのような影響を及ぼすかを目の当たりにしているタグボート運航事業者に対して、ITFと協議せよと伝えたい。我々も持続可能な産業を望んでいる」

 「船社から投資家、小売最大手のCEOに至るまで、あらゆる顧客に対して、タグボート労働者と組合の緊急の要請に耳を傾けてほしいと訴えている」人権デューデリジェンス、ESG、企業責任、あるいは通常のリスク管理の行動を取る企業なら、この危機は見逃せるないはずだ」

備考

運動の一環としてITFが作成した関連資料

 

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