2020年の航空旅客需要は前年比65%減少、商用航空宇宙機器需要も激減しているため、両産業で数十万人が解雇されている。雇用回復には輸出信用機関の支援が不可欠である。
ITF、インダストリオール、OECD労働組合諮問委員会(TUAC)は、OECD加盟国に対して、以下の調整を強化することで、雇用保護と世界経済の回復に努めるよう、呼びかけている。
- 航空宇宙および商業航空部門の資金調達問題に対する輸出信用機関の支援
- 輸出信用機関による人権関連(労働基準やデューデリジェンスを含む)の「共通のアプローチ」の強化
- 基本的な意思決定プロセスにおける透明性確保と労働組合・NGOの関与
「理論的には、航空業界は2025年に元のレベルに回復すると見込まれている。しかし、業界の生き残りのためには、今、業界を動かし続ける必要がある。輸出信用面から航空宇宙産業を支援し、受注・納入の促進を図るのは一つの方法だ。また、輸出信用に関するOECDの方針は、ディーセントな雇用および労働条件の確保につながる」とインダストリオールのアトレ・ホイエ書記次長は語った。
ITFのロブ・ジョンストン書記長は、公平な競争を確保するために、輸出信用機関が信用供与にあたり、労働基準と持続可能性を考慮することが極めて重要だと指摘し、次のように語った。
「ITFもインダストリオールも輸出信用機関の重要性を理解している。何百万人もの雇用がかかっているからだ。同時に、企業の行いと労働慣行の改善を結びつけることも非常に重要だ」
輸出信用供与はフリート(保有機材)の更新も促進させるだろう。これは、特にCO2排出量削減の観点からも必要だ。
国際産別労働組合組織は何カ月も前から輸出信用に関する取り組みを開始し、2020年10月にはOECD加盟国の輸出信用機関に正式に要請書を提出した。
国家間の競争が激化し、各国の輸出信用機関が雇用支援の優先度を下げている。我々労働組合は、「共通アプローチ」に参加していないOECD非加盟国との競争を懸念している。OECD加盟国は世界経済回復のための政策調整を一層強化する必要がある。
コロナ禍においては、特に人権デューデリジェンスを強化し、労働組合やNGOを関与させる必要がある。企業、業界、サプライチェーンにおける環境破壊や人権侵害を把握、監視、報告、是正する最も有効な手段として、労働者を活用すべきである。