ITFとJNGによる合同プレスリリース
IBFの合同交渉グループ(JNG)と国際運輸労連(ITF)がウクライナ周辺海域を「軍事行動区域」に指定したことで、同海域のセキュリティレベルと、同海域を航行する船員の手当が引き上げられた。
今回の指定は、ウクライナ情勢が急速にエスカレートしたことを受け、月曜にソーシャルパートナーが行った緊急ハイレベル会議で決定され、2022年3月1日(火)より発効する。本国送還、賃金の支払い、安全な航行、個々の船員の権利の尊重、そして特に当該海域出身の船員の状況に議論が集中した。
JNGとITFはソーシャルパートナーとして、国際交渉フォーラム(IBF)協約の適用について交渉し、その実施を担保している。IBF協約は、現在、9,000隻以上の船舶で使用されている、国際貿易に従事する船員の労働条件をカバーする唯一の国際団体交渉協約だ。
ウクライナでの戦闘と紛争の激化は、新型コロナウィルス感染症の流行がもたらした課題と需要で既に疲弊していたあらゆる国籍の船員と海運業界にさらに大きなプレッシャーをかけている。関係者は、この前代未聞の状況にあたり、船員の福利と権利の保護はIBF協約の精神と意図にとって最も重要である点で合意した。
アゾフ海 (北緯46度の北部)、黒海北部、ウクライナの全ての港がIBFの軍事行動区域に指定された。したがって、この海域を航行するIBF協約の適用船に乗り組む船員は、以下を受け取る権利が発生する:
- 基本給に相当するボーナス(最低5日分で、航行期間がそれを超える場合はその分を日数に応じて追加 )
- 死亡・障害補償の倍増
- 当該海域の航行を拒否する権利。その場合、会社の費用負担により、本国送還され、2か月の基本給に相当する補償を受ける。
- 船舶と港湾施設の保安のための国際コード(ISPSコード)レベル3の運航を推奨される。
ウクライナと隣接海域の「軍事行動区域」指定に加え、JNGとITFは、急速に展開するウクライナ危機の中、船員の安全と保安が確実に守られるよう、監視を続け、そのためのメカニズムを見直すハイレベル協議を今後も行っていくと約束した。
また、ウクライナの船員とその家族を難民として受け入れてくれるよう、世界中の政府に支援を求めることも検討された。関係者は、ウクライナの船員の本国送還を容易にするためにビザ要件を免除するよう、各国政府に呼びかけることで同意した。