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観光労働者アライアンスによるESG報告書:持続可能な観光産業の未来を確保するため、早急な労働・人権改革を要求

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ロンドン-2024927-国際運輸労連(ITF)と国際食品労連(IUF)の共同の取り組みの観光労働者アライアンスが、旅行・観光業における環境・社会・ガバナンス(ESG)の動向、予測、リスク、機会に関する画期的な調査報告書を発表した。

 労働組合、企業、投資家、規制当局など、業界全体の多角的視点に基づき、報告書『なぜESGの 「S 」が重要なのか?:旅行・観光業界における社会的持続可能性と労働および人権』を発表し、重大な社会的リスクを概説し、労働・人権問題に真正面から取り組むための明確なビジネス事例を提示するとともに、旅行・観光業界全体の状況を改善するための7つの実行可能なステップを示した。

 ITFのスティーブン・コットン書記長は、 「観光産業も利益を上げる必要があるが、 労働者を犠牲にした利益の引き上げは不公正かつ持続不可能だ」と述べる。「低賃金、不安定雇用、危険な労働条件の負のサイクルから抜け出せず、その日暮らしを続けている観光労働者は余りにも多い。これは単なる倫理的、道徳的に問題なだけでなく、観光業界の長期的な存続を脅かすビジネス上のリスクでもある」

 コットン書記長は、ESGへの注目が高まっていることを正しい方向への第一歩として歓迎しつつも、真の変化を起こすためには、観光セクター全体が 「S (社会的側面)」をさらに強化する必要がある点を強調した。

 「労働者の権利と人権を向上させることは、ビジネスにも資することは明確で説得力があり、それこそがスマートなビジネスでもある。労働者の待遇を改善することは、良い人材を惹きつけ、維持することに役立ち、サプライチェーンのリスクを軽減し、観光業のより持続可能な未来を築くための新たな投資機会を開くことになる」とコットン書記長は述べた。

主な結果

 本報告書から、業界の制度的リスクを軽減し、繁栄を確保するために、例えば下記のような、より良いソーシャル・ガバナンスが今すぐ必要であることが明らかになった:

  • 観光産業は世界中で極めて多くの労働者を雇用しているが、広範囲に見られる劣悪な労働条件とディーセントワークの欠如により、制度的リスクが生まれている。
  • 移民労働者、非正規労働者、不法移民労働者は常に疎外され、深刻な搾取に直面している。
  • 世界的な労働力不足の根本原因に対処するためには、観光産業で働く労働者、特に女性、青年、移民労働者の労働条件を改善することが不可欠だ。
  • 平等、多様性、包括性(EDI)の原則の遵守は、観光産業の中核的な強みであると同時に、課題でもある。
  • 成長を続けながら社会的持続可能性を確保することは、観光産業の最大の課題の一つである。

 IUFのスー・ロングリー書記長は、「あまりにも多くの旅行会社が認証制度や環境保護という偽りの主張の陰に隠れ、実際にはコスト削減を進め、不安定雇用を拡大させている」と述べる。「この報告書により、世界や国内の労働組合と協力する企業の必要性が確認された。労使が力を合わせることで、企業が行っていると主張する労働者への配慮を、旅行・観光産業で働く労働者が日常的に感じることができる具体的な改善に結びつけることができる」

業界の活動計画

 同報告書は、企業、政府、投資家、労働組合が社会的に持続可能な未来を築くための以下の7つの主要な行動を求めている:

  1. 強固な政策・法的枠組みとコンプライアンス制度を備えたマルチステークホルダー・イニシアチブを確立する。
  2. 労働組合や労働と人権に関する信頼できる専門家との連携を増やす。
  3. 労働と人権に関する二重のマテリアリティ(重要性)評価を実施する。 
  4. 労働と人権を取り巻く状況を改善するための明確で測定可能な目標を定めた方針とプロセスを策定し、実施する。
  5. 主要リスクに対応するための意味ある指標を選択し、そのプロセスに従業員を参加させ、透明性の高い方法でデータを収集・分析する。
  6. サプライチェーンへの影響とともに、直接的影響も考慮する。
  7. 設定された目標に対する結果と進捗状況を、率直かつ誠実に伝える。

 「環境面、経済面、社会面など、あらゆる意味で持続可能な旅行・観光業界を構築するため、業界のリーダー、政府関係者、業界全体のステークホルダーなど、すべての人々に参画を呼びかける」とコットン書記長は語った。

 「観光産業の未来は、労働者と人権を業界の成長の中心に据える労働界の数の力にかかっている」

 

報告書について

 観光労働者アライアンスの委託を受け、サリー大学(英国)のシャビア・フォント教授とエンベスコ社のグラハム・ランドルズの協力を得て、アンケ・ヴィンチェンバック博士が専門家の視点から作成した。同報告書は、次の4つの異なるESGアプローチから指標を分析し、マッピング分析した:欧州持続可能性報告基準(ESRS)、国連観光局の「観光の持続可能性測定のための統計フレームワーク」、グローバル持続可能な観光協議会基準、ワールド・ベンチマーキング・アライアンス。その結果、「搾取とハラスメント」、「機会均等」、「ディーセントワーク」が、職場やバリューチェーン労働者にとって最も顕著なテーマとなっていることが判明した。

観光労働者アライアンスとは

 国際運輸労連(ITF)と国際食品・農業・ホテル・レストラン・ケータリング・タバコ・関連労働組合(IUF)が、共同で設立したアライアンスのこと。同アライアンスは、ITFIUFの取り組みを連携させ、27,000万人を超える観光・交通運輸労働者の声を増幅させることを目的とした、労働組合による共同の取り組みである。

ITFについて

 国際運輸労連(ITF)は民主的かつ加盟組合主導の、世界有数の交通運輸労働者の組織。ITFは労働者の生活を改善することに情熱をもち、闘い、150カ国の労働組合を連携させ、組合員の権利、平等、正義を確保している。ITFは、世界中の交通運輸業界で働く約1,650万人の労働者の声を代弁している。

IUFについて

 国際食品・農業・ホテル・レストラン・ケータリング・タバコ関連労働組合連合(IUF)は 126 カ国に 407 の加盟組織を持つ。田畑から工場、ホテル、レストラン、ファストフードチェーンに至るまで、IUF はフードチェーン全体で働くの労働者のために組織化し、闘い、勝利を収めている。

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