ITFは世界最大手のコンテナ船社に昨年の通知表-改善の余地のある通知表-を渡した。
ITFは本日(3月23日)にコペンハーゲンで開催されているAPモラー・マースクの株主総会に年次報告書を提出した。株主総会の出席者は少数で、大半の株主がビデオで参加している。
世界中のマースクの労働者数万人を組織するITFは、各国政府の渡航制限により「船員交代問題」が深刻になる中で、定期的な船員交代を実現させているマースクの取り組みを称賛した。
「マースクは、船員交代に関して業界をリードしている。チャータラーや船社の中には責任を転嫁し、船員交代問題の解決に必要な金銭的負担を拒否するが者もいる。一方、マースクは対策を講じ、定期的な船員交代が可能であることを世界に示している」ITFのジャクリーン・スミス海事コーディネーターは語った。
また、ITFが昨年、各国のマースクと協力して、新型コロナ関連の安全衛生問題や報酬の問題に取り組んだことを説明し、次のように語った。
「ITFとマースクの継続的な関係は、互いを高めるためにある。マースクは、現地の慣行がグローバルレベルのコミットメントに達していない分野に関してITFと協力することで、海運業界の一層強力なグローバルリーダーになることができる」
スミス海事コーディネーターは、マースクが昨年、メルボルンのICTSIビクトリア国際コンテナターミナル(VICT)と契約することで、責任ある企業市民としての評判を損なうリスクを冒したと指摘した。
また、労働組合がVICTをオーストラリアの労働協約を尊重しない「便宜港湾(POC)」に指定した後もVICTを利用し続けていることに疑問を呈し、次のように語った。
「マースクは従来、優れた方針を書面で表明し、サプライヤーにもそれらの遵守を期待する。それだけに、オーストラリアで最も反労組のコンテナターミナルの団体交渉を支持するような盲目的な対応に驚いている」
「マースクは国連グローバルコンパクトに署名し、団体協約の支持を表明している。直接雇用の労働者との団体協約か否かにかかわらず、このコミットメントをサプライチェーン全体に適用させる必要がある」
「マースクがその価値を維持し、VICTと親会社のICTSIが労働者に対する敵対的な姿勢や権利侵害を改めるまで、VICTとの取引を回避することを求める。今後数週間以内にマースク幹部にこの問題を提起するつもりだ」