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新型コロナウイルスと交通運輸労働者の衛生設備利用

ニュース 17 Apr 2020

労働組合の交渉担当者のためのアドバイス

職場で適切な衛生設備を安全に利用できるかどうか、特に、勤務時間中に必要な時に利用できるかどうは、あらゆる交通運輸労働者、特に女性労働者が実感しているグローバルな問題です。新型コロナウイルスの感染が拡大している今日において、この問題が一層重要になっています。

衛生措置を含めた感染防止対策は、交通運輸労働者、労働組合、使用者、政府にとって緊急の課題となっています。ロックダウンを実施する国が増える中で、交通運輸労働者は以下のリスクに直面しています。

  • 運転手が長時間を車内で過ごすこととなり、トイレや手洗所を利用できない。
  • 女性船員が外国で渡航規制のために足止めされ、衛生用品が利用できない。
  • 長時間シフトに就く公共交通労働者はウイルスに暴露する可能性が高い。衛生設備を利用する機会も限られている。レストランやカフェの営業停止で状況は一層悪化している。
  • 需要増で業務量や労働者数が増えていると思われる倉庫や流通センターなどで、ソーシャル・ディスタンシング(人との距離をとること)等の衛生・保護措置の実施に消極的な雇用主がいる。

ITFは、2019年の世界トイレデーに立ち上げた ITF衛生憲章 の原則に基づいて、新型コロナウイルスと交通運輸労働者の衛生設備利用に関して、使用者と政府に要求する行動分野を特定した。

使用者に求める行動

  • 新型コロナウイルスに対するリスクアセスメント、明確な方針、手順、計画の策定・実施(特に、職場の衛生設備や手洗所の提供、清掃、保守、利用に関して)について、労働組合の(男女)代表者と協議する。協議プロセスは包括的なものとすべきであり、(男女)交通運輸労働者の個別のニーズ(妊娠、障害、更年期障害、持病等)を考慮すべきである。
  • 新型コロナウイルスや、労使合同で確認された予防措置(ソーシャル・ディスタンシング等)に関する情報、指導、訓練を労働者に提供する。
  • 差別・侮辱されたり、他の労働者に氏名を公開されたりするのを恐れることなく、労働者が懸念を報告できるよう、最新の接触情報を提供する。
  • 交通運輸労働者がよく利用していた公共スペースの閉鎖に鑑み、運転手等の乗務員のトイレ利用を考慮したルートを検討し直す。
  • サプライチェーンの関係業者に乗務員の手洗所利用の協力を呼び掛ける。
  • 適切な個人用保護具を労働者に無料で提供する。 
  • 減給やその他の懲戒処分なしに勤務時間中に衛生設備を利用する機会を労働者に与える。

政府に求める行動

  • 労働組合や使用者団体と協議しながら、職場における新型コロナウイルス感染予防対策に関する法律、政策、ガイドラインを整備する。特に、労働者が必要に応じて勤務時間中に衛生設備を利用できるようにする。
  • 新型コロナウイルス関連の職業安全衛生諮問機関に男女の労働者代表を含ませる
  • 法律、政策、ガイドラインにジェンダーのアプローチを盛り込ませる。特に、交通運輸職場における衛生設備の確保に焦点を当てる。
  • このような法律、政策、ガイドラインには、クライアントや下請業者の責任、特に、男女交通運輸労働者の衛生設備の利用に関する責任を明記させる。
  • ILOの国際労働基準や他の国際機関(WHO等)のガイドラインを実施、促進する。   

交通運輸プロジェクトの投資家に求める行動

  • 新型コロナ危機に対応して実施されるプロジェクトや融資において、水や適切な衛生設備を利用する権利を確保する。
  • プロジェクト実施の際は、適切な衛生・トイレ設備が労働者に提供され、労働者が勤務時間中にそれらを利用できるようにする。

 

関連情報

ILO基準と新型コロナウイルス(英語、仏語、西語)
https://www.ilo.org/global/standards/WCMS_739937/lang--en/index.htm

世界保健機関(WHO
https://www.who.int/publications-detail/water-sanitation-hygiene-and-waste-management-for-covid-19

 

 

 

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