国際運輸労連(ITF)は、ミドルイースト・マリン社が100人以上の船員の権利を組織的に侵害し、遺棄した、最悪の事態を避難する。
ITFはアラブ首長国連邦政府とパラオ海事局に対し、船員の苦しみをなくし、国際海事法および人権法を守るために行動するよう求めている。
2022年11月以降、ITFは、バングラデシュ、インド、モルディブ、スリランカで、18隻17件以上の船員遺棄案件を報告してきた。
インド、インドネシア、ミャンマーの船員は、汚れた 飲料水、食料の不足、パスポートや薬の押収、病気の船員の通院拒否、賃金未払いなど、悲惨な状況に置かれている。こうした行為は、人権・労働権の侵害とみなされる。
インドネシア出身の船員はこう語る。「給料は3カ月以上支払われていないが、7カ月も支払われていない船員もいます。会社は食料も飲み水も供給してくれず、生き残るために魚を捕るしかない時もあります。乗組員全員がうつ病になり、家族は生き延びるために借金をせざるを得ませんでした」
別の船員(インド出身)は、ITFに次のように話してくれた。「会社から酷い扱いを受け、精神状態はよくありません」
国際法、すなわち 2022年改正海上労働条約(2006) では、船員は少なくとも月1回は賃金を支払われなければならない、と規定されている。2カ月以上、乗組員に賃金が支払われていなかったり、十分な食料、水、燃料が提供されていない場合、船員は遺棄されたとみなされ、保険会社や船舶の旗国(船が登録されている国、この場合はパラオ)が行動を起こすきっかけとなる。
船員と家族がこのような緊急事態に直面しているにもかかわらず、ITFは問い合わせに対し、パラオ海事局から一度も回答を受け取っていない。
「船員の命は、どの企業にとっても担保にはならない」とITFのインスペクター・コーディネーターを務めるeスティーブ・トラウズデールは述べる。「ITFは、ミドルイースト・マリン号の悲惨な状況と船員遺棄の規模の大きさにより、影響を受けている船員の福利面を心配している。
「UAEに登録された企業が、なぜこのような行動を行っても、罪を問われないのか理解に苦しむ。
ミドルイースト・マリン号は世界の海運業界の汚点だ」
「船員がこのような極端な搾取、危険な労働条件、 権利の侵害に直面していることを目の当たりにし、衝撃を受けている。ITFアジア太平洋地域ネットワーク・コーディネー ターのサンドラ・ベルナルは、「賃金不払い、生活環境の不備、法的保護の欠如、移動の自由の制限など、これは正に現代の年季奉公に等しい」と語る。
おわり
メモ
- ITFインスペクターのポール・ファルゾンとサンドラ・ベルナル・アジア太平洋地域ネットワーク・コーディネーターは、直接、乗組員と面談し、支援の手を差し伸べることができる。面談の申し込みはジェシカ・サマーズ(電話:+44 7702 259 612、メールmedia@itf.org.uk)まで連絡を。
国際運輸労連(ITF)とは国際運輸労連(ITF)は、民主的かつ加盟組合主導の交通運輸労働者の労組連合体であり、世界有数の交通運輸界の権威ある組織として認識されれている。147カ国の労働組合と労働者のネットワークを結び、組合員の権利、平等、正義を確保するため、労働生活の向上のために熱意溢れる闘いを展開している。ITFは世界を運ぶ約2千人の労働者の声を代弁している。
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