ITFは、イタリア議会で暴力とハラスメントに関するILO第190号条約の批准が承認されたことを歓迎する。これにより、イタリアは、女性をはじめとする労働者の職場における保護を約束した欧州初の国となった。
ILO第190号条約は、仕事の世界における暴力やハラスメントの防止・対応に関する国際基準を定めた画期的な条約である。既にウルグアイとフィジーが批准したほか、アルゼンチンとナミビアが2020年後半の批准を公約した。
ITFのジョディ・エバンス女性・ジェンダー平等部長は、「イタリアは職場における暴力やハラスメントの根絶に向けて、欧州でリーダーシップを発揮した。他の欧州諸国や各国も後に続くべきだ」と述べた。
コロナ禍で労働者、特に女性労働者の脆弱性が明るみに出た。ITFに加盟する世界中の女性労働者が、「仕事の一環として」として、差別、ハラスメント、虐待を受けていることを報告している。また、コロナ禍で性およびジェンダーに基づく暴力が急増していることをデータが示している。よって、コロナ禍からの回復計画には、職場や家庭における暴力やハラスメントに対する行動を盛り込ませることが不可欠である。各国政府はILO第190号条約に批准することで、ジェンダー平等の問題を真剣に捉えていることを示すことができる。
労働者および労働組合は、2019年6月の同条約の採択において、大きな推進力となった。今後も団体交渉等を通じて同条約の批准、国内法の整備、職場での実施に向けて、重要な役割を果たしていくだろう。
ILO第190号条約は、仕事の世界における暴力やハラスメントの撤廃に向けて明確な枠組みを設定した初の国際労働基準である。尊厳と尊重を受ける権利や、暴力やハラスメントのない職場で働く権利が国際条約として明記された。同条約は2021年6月25日に発効する。