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「重要な事については海運界は一丸となる」:コロナ禍の協力の精神を維持するための労使協定

ニュース 記者発表資料 23 Dec 2022

合同プレスリリース

船員を代表する労働組合と海運界の業界団体は、新型コロナウィルス感染症のパンデミック(世界的大流行)期に海運界が一丸となって努力した「協力の精神」を維持すべく、新たな覚書(MOU)を締結した。

MOUの調印団体は以下の通り:

  • ITF 国際運輸労連
  • ICS 国際海運会議所
  • IMEC 国際海事使用者委員会

このMOUは、対話を深めるプロセスの始まりであり、調印組織は、今後数カ月、数年のうちに、より多くのパートナーがこの共通の目的に賛同してくれることを望んでいる。

「新型コロナウィルス感染症のパンデミック(世界的大流行)期にサプライチ ェーンで混乱が生じても、「船員は、食糧や燃料、 医薬品などを世界中に供給し続けた。船員やその他のキーワーカーのおかげで、最悪の危機を乗り越え、経済と人類の健康の回復に向けた長い道のりを歩み始めることができた。しかし、船員が国内外で各国政府から権利を無視されるケースが余りにも多かった」とITF船員部会のデイブ・ハインデル議長は述べる。

「船員交代危機の際、海運業界は一丸となってきた。我々はこの協力の精神を前進させ、新たな共通の課題に適用していきたいと考えている」とハインデル議長は語る。

船員の訓練とキャリアパスの改善に関する政府への働きかけ、船員の知名度の向上、「海事公正な移行タスクフォース」 が最近発表した活動計画に盛り込まれた提案への支持を確保することなどが優先事項だ。活動計画は、1212日にロンドンで開催されるIMOMEPC環境会議で発表される予定だ。この会議では、国連の主要な海事機関が新たな二酸化炭素削減目標を設定する。

ICSのガイ・プラッテン事務局長は、低炭素・ゼロカーボン船、インフラ、技術への投資に必要な明確な指示を規制当局から確保することも含め、このMOUは船主と船員の双方に同様に利益をもたらすと確信していると述べた。

「この MOU は、我々の重要な政策協議を次の段階、つまり、業界一体による行動につなげるためのものだ。業界全体が力を合わせれば、脱炭素社会の推進に必要な現実的なコミットメントをより効果的に得ることができる」

「このMOUは、船員のために、我々が小さな違いを乗り越え、立ち止まり、共に主張すれば、船員のために何が達成できるかを認識できていることを、他でもない船員に示すためのものだ。つまり、重要な事については、海運界は一丸となるということだ」

IMEC議長のキャプテン・ベラル・アフメドMOU締結を歓迎した。  海事産業の使用者は、公正な移行作業のうちの特に、訓練の要素について、世界中の船員の訓練の多くを提供し、国内の重要な資格基準を規制している政府との関わりを期待している。

「コロナ禍と船員危機の時期に、海運というグローバル産業とそこで働く船員にとっての各国政府の重要性が浮き彫りになった。船員を解放して帰国させられるかどうかは、政府の判断による。将来の訓練システムを策定し、資金を確保する上でも、政府は同様に重要な役割を果たすことになろう。政府が海運界に注目している今、この機会を無駄にはできない」とキャプテン・アハメドは言う。 

キャプテンはまた、新技術の急速な導入に伴い、「船員の技術への対応を時間通りに遂行するという大きな課題を海運業界が抱えるようになった」と述べた。船舶に新しい機械を導入するエンジニアリング会社、技術会社、製造会社の各企業は、公正な移行の取り組みに参加する責任がある」

「このMOUの調印は、これらの重要な海運コミュニティが、このセクターの将来に強い発言力と安定性をもたらす対話を再び強く求めているという明確なメッセージを発信するものだ」と、キャプテン・アハメドは締めくくった。

おわり

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メモ:

国際運輸労連(ITF: 国際運輸労連(ITF)は、民主的かつ加盟組合主導の交通運輸労働者の労組連合体であり、世界でも有数の交通運輸界の権威ある組織として認識されている。147カ国の労働組合と労働者のネットワークを結び、組合員の権利、平等、正義を確保するため、労働生活の向上のために熱意溢れる闘いを展開している。男性、女性を問わず、世界を動かしている約2,000万人の交運労働者の声を代弁している。

国際海運会議所(ICS: 国際海運会議所(ICS)は、商船船主と運航会社のための主要な国際貿易団体で、すべてのセクターの貿易および世界の商船隊の8割以上を代表している。

国際海事使用者委員会(IMEC)は、海運界の労使関係を専門とする唯一の国際業界団体だ。50年以上前に設立され、世界の250社以上の海運会社を代表している。メンバーは、船主と管理会社、大小の規模を問わず、あらゆる種類の船舶を運航する個々の海運会社だ。60カ国以上で登録された15,000隻以上の船舶を運航し、68カ国出身の30万人以上の船員を雇用する。

 

写真提供: Jジェイク・レスター・ボデガス(ITF 船員トラスト 写真コンテスト提出作品)

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