直接的・間接的な補助金が欧州海運産業に及ぼす影響について、OECDと国際交通フォーラム(ITF)が発表した調査報告書は、現行制度が欧州の納税者や労働者の期待を裏切っている状態を明るみにした。
欧州の海運産業に対する補助金制度を改正し、国内の雇用保護、排出量削減、交通量と海洋汚染の削減を実現するために、補助金を効率的・効果的に活用することを勧告するこの報告書を組合は歓迎している。
欧州運輸労連(ETF)のリビア・スペラ書記長は、「OECD-ITF分析によって、労働者や組合の長年の懸念、つまり、海運産業への補助金は本来の目的を達成していないという懸念が確認された。この報告書は欧州の政策立案者に警鐘を鳴らしている」と述べた。
「この包括的な報告書が明確に示しているのは、補助金は不可欠だが、EUはその手法を変え、雇用、訓練、環境の基準を厳格化すべきだ」とスペラは続けた。
OECD-ITF調査報告書「海運産業への補助金:額に見合った価値はあるか?」は、欧州委員会(EC)が補助金制度を規制・監督しているEU加盟国に注目しながら、直接的・間接的な補助金の影響について、評価・分析している。
ITFのスティーブン・コットン書記長は報告書について次のようにコメントした。「政府は多額の補助金を支出しているにも関わらず、本来の目的は達成されていないことが分かった」
「調査結果は、EU加盟国籍の船舶や欧州居住船員が減少していることや、雇用や産業の保護・創出と補助金との関連性を裏付ける証拠が見当たらないこと、補助金が地球環境に優しい海運を支えているわけではないことを示している」
「現行制度の抜本的な改革が必要だ。これまでとは異なる効果的・効率的な方法で、欧州居住船員の雇用・訓練を積極的に支援する必要がある」
ETFとITFは、海運産業を支援する補助金は継続すべきであるが、より効率的・効果的な国内雇用の保護、海洋汚染の減少、雇用・訓練基準の厳格化を求めるべきだとする報告書の勧告を支持している。
「補助金を支出するEU加盟国は説明責任を果たし、プロセスの透明性を確保すべきだ」とスペラは指摘する。
「ETFとITFはEUに対して、海運補助金ガイドラインを改定し、特に欧州海域を主に航行する船舶に補助金を支出する場合は、EU/EEA加盟国の船籍と自国船員の雇用義務の厳格化を求めるよう要請した」とスペラは述べた。
詳細は調査報告書の概要(英語)をご覧いただくか、報告書(英語)をダウンロードしてください。
問い合わせ:Luke Menzies(+61(0)433 889 844またはmenzies_luke@itf.org.uk)
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