ITFのスティーブ・コットン書記長は国際労働機関(ILO)において、「今こそ、ILOは労働者の権利の基準設定者として権威を発揮するべき時だ」という明確なメッセージを発信した。
ジュネーブで開催されたILOの創立100周年記念総会で、コットン書記長は、環境、人口、技術面で深刻な変化が起きている中で、働く人々の将来を確保するという課題について認識を促しつつ、ILOは雇用形態に関わらず、全ての労働者のために最低基準を約束することができるユニークな立ち位置にあるとして、次のように述べた。
「ITFは多国間主義、政労使の三者構成主義、ILOの活動を信じている。私たちは今、歴史的に重要な岐路に立っている。ILOは平和と安定のために社会的正義に満ちた世界を構築するという設立当初の目的を今一度思い起こし、その実現のために大胆な決断を下さなければならない」
「ILOは社会で最も弱い立場にある人々を擁護することを約束しなければならない。団結権と団体交渉権は全ての労働者に与えられるべき基本的権利だ」
書記長の重要なメッセージは、「ILOは基準を力強く実施し、基準違反がまかり通ることを許してはならない」というものだった。
国際労働基準の監督
基準適用委員会(CAS)は、国際労働法の重大な違反事例を調査するILOの機関であり、ITFは交通運輸労働者を代表してCASで大きな役割を果たしてきた。ITFの支援により、このたび提訴される案件には、結社の自由と団結権の保護に関するILO第87号条約に関してトルコとフィリピンの違反案件が含まれる。
ITFは、CASの中で、ITF加盟組合が経験してきた労働組合活動家に対する暴力、投獄および基本的権利の侵害について報告した。今後、ILOが進捗状況を監督できるよう、両国政府はILOの専門家委員会に当該案件の改善状況について報告する義務がある。
仕事の未来に向けたILO百周年記念宣言
職場における暴力と嫌がらせに関する歴史的な国際基準が設置された(詳細はこちら)ことに加え、ILOは絶え間なく変化する仕事の世界において、全ての労働者が権利を持てることを目指す「仕事の未来に向けたILO百周年記念宣言」に合意した。同宣言は、交通運輸労働者にとっても重要な問題を取り上げており、労働組合が公平で公正、民主的な仕事の未来を求めて闘うための基盤を提供している。
宣言の重要な部分には以下の言及がある:
- 安全かつ健全な労働条件はディーセントワーク確立の基本であることの認識。
- サプライチェーンにおいて労働者の権利を確保するための、国境を越えた行動の必要性。
- 適切なプライバシーと個人データの保護を確保するための政策と方策とプラットフォーム労働を含む労働のデジタル化に関連する、仕事の世界における課題と機会に対応するための政策と方策。
- 質の高い公共サービスを促進することの重要性。
100周年記念宣言はILOのビジョンを設定している。ILOは労働組合を含む政労使から成る機関であり、その決定事項には影響力がある。ILOの活動にITFが引き続き熱心に取り組んでいくことを再確認し、コットン書記長は次のように述べた。
「ILOの中核的条約が世界中で批准されるようにしなければならない。100周年記念宣言の内容が確実に実行されるよう、行動計画が策定されるべきだ。それが行われない場合は、労働者が行動を起こす必要がある。ILOが真剣に取り組んでいることを働く人々が認識できるようにしなければならない。政労使の三者構成システムに対する信頼と理解こそが、労働者が使用者と政府の責任を追求し続けるという社会的契約の基盤なのだ」
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