民間航空の国際機関と労働者の国際機関が新たな合意を締結し、国際航空輸送産業の安全・回復にとって航空労働者のディーセントな労働基準が重要であることが認識された。
国際民間航空機関(ICAO)と国際労働機関(ILO)は16日に覚書を締結、両者の協力関係は新たな局面に入った。
ITFのガブリエル・モチョ・ロドリゲス民間航空部長は覚書の締結を歓迎し、次のように述べた。「航空産業と航空労働者にとっての重要な一歩だ。覚書は国際労働基準(労働における基本的原則及び権利を含む)を保護するものであり、ILOの条約、勧告、専門知識が国際航空政策の立案に正式に反映されることとなった。
1953年に両者が締結した合意は実務に反映されることはなく、両者が双方の会議に時々参加する程度だった。今回締結された覚書は、共通の関心事項に関する会議、協議、情報交換の参加を制度化し、協力を強化することを確認している。
ロドリゲス部長は、この合意が効果的に実施され、国際航空政策立案に労働基準が反映されれば、世界の航空労働者と航空労組の認知度が高まり、国際、国、地域レベルの航空政策・規制において、労働条件の向上や権利の促進が期待できることを意味すると指摘し、次のように語った。
「ICAOとILOの覚書は、ITFが長年主張してきた問題の重要性を強調している」
「ITFは、航空産業の安全にとって労働基準や労働者の果たす役割が重要であることを訴えてきた。ILOやILO条約で規定、保護、促進されている労働者の権利がICAOにおける航空産業の回復、成長、自由化の議論の中心となるよう、この覚書が誠実に実施されなければならない」
ICAOが自由化のアジェンダを推進する中で、労働基準や労働者の権利が競争の犠牲にならないようにするというILOの役割とICAOとの関連性がこれまで以上に高まっている。
「経済自由化によって、国際航空輸送産業に基準以下の労働条件や便宜置籍の慣行が広まらないようにするためには、ILOの専門知識が欠かせない」
「我々はこの新しい時代を前向きにとらえている。覚書を通じて、ディーセントワークや持続可能な開発目標のアジェンダを適用させることに関しては、とてつもなく大きな可能性が秘められている。持続可能な航空産業という共通目標に向かって、組織全体で協力することが求められている」
「ITFは海事部門での経験から、コロナ禍からの回復に加えて、仕事の未来や若年層の人材確保、ジェンダー平等などの重要問題でILOおよびICAOと協力できることを知っている」