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船員8人が1年超の乗船の後、フィリピンに帰国

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船員8人が1年超の乗船の後、フィリピンに帰国

 ITFの介入を経て、1年4カ月もの乗船を余儀なくされた船員1人が帰国を果たした。

 ばら積船ウェスタン・アイデ号の別の乗組員7人も、ITFの支援を受け、本国送還された。7人は海上労働条約(MLC)で規定される最長乗船期間の11か月を上回る13か月間乗船していた。

 乗組員1人が、本船がカナダからブラジルに向かう途中にITFに支援を要請してきたとブラジルのITF加盟CNTTL労組に所属するアリ・ジニITFインスペクターは説明した。

 MLCは、船員は契約満了後に雇用主負担で帰国する権利があると規定する。各国政府が実施している渡航制限により、船員交代が難しくなっているものの、カナダやブラジル等の多くの港湾や州を経由して、船員交代を実現させることは可能である。

 一方、MLCは、乗組員は本国送還の要請をまずは船長を通じて会社に行うべきことを規定している。

 ジニによると、乗組員は既に東京の船舶管理会社、ユニトラ・マリタイム社に連絡を取り、下船の希望を伝えていたが、次の寄港地での本国送還は保障できないと言われていた。

 ジニは830日、パナマ籍の本船がブラジルのパラングアに到着した時、乗組員に面会した。ジニは、労使双方が義務を果たしていること、つまり、乗組員が契約を満了していることと未払い賃金がないことを確認した。

 また、乗組員の乗船期間を確認したところ、1名は20194月に中国の舟山で乗船したことが分かった。当時は20208月だったので、この乗組員は国際条約で定められている最長乗船期間を超えて契約義務を履行していたことになる。

 ジニは訪船について次のように語った。「私が訪船した時、乗組員らは私に会えたことをとても喜んだ。同時に、帰国を切望した」

 乗組員は希望通り直ちに下船することはできなかった。会社のマネージャーは、次の寄港地での交代を手配する旨、ジニに伝えた。

 「それはMLC違反だと私はマネージャーに警告した」とジニは語った。

 ITFインスペクターの警告を受け、会社は方針を変えた。

 「マネージャーは翌日の下船に合意し、パラングアでの交代の手配が行われた」とジニは説明した。

 乗組員が空路でフィリピンに帰国した週に、フィリピンから交代船員が到着した。

 最近、コロナ禍における船員交代促進のためのIMOプロトコールを実施する国が増えつつあるが、ブラジルはその一つである。

 

トルコ人船員の未払賃金回収と本国送還をITFが支援

 下船できずに船内に留まっている船員への良いニュースはまだある。ITFはブラジル沖に停泊していた船舶の乗組員の帰国も支援した。

 DSソフィーバルカー号の乗組員16人が未払賃金約10万ドルを回収した後、ブラジルのサントス港からトルコに帰国した事例をレニアルド・デ・フレイタスITFインスペクターが報告した。

 8月の初めに貨物船DSソフィーバルカー号が私の活動拠点であるサントス港に向かっていた時、乗組員が私に支援を要請してきた。乗組員のほとんどが契約を終え、本国送還を希望していた。中には14カ月間も乗船していた者もいた」

 海上労働条約(MLC)で規定される最長乗船期間は11か月であり、11カ月を超えて船員を乗船させることは違法である。少なくとも9人の乗組員が6カ月以上も契約期間を超えて乗船していた。

 また、乗組員は6月と7月の賃金が未払いである旨、主張していた。

 「彼らの最大の懸念は家に帰れないでいることだった。彼らはそのためにストレスを抱え、帰国を切望していた」とデ・フレイタスは説明した。

 デ・フレイタスは船主に連絡を取り、乗組員を帰国させるように警告した。

 「ブラジルは船員交代の促進に努めている数少ない国の一つであり、乗組員の本国送還を実現する機会は存在することを強調した」

 「また、7月の賃金が未払いであり、未払い賃金をできるだけ早く、どんなに遅くとも送還までに支払わなければならないこと明確に伝えた」

 「これまでのITFの査察を分析したところ、過去の乗組員から未払い賃金に関する苦情が多数寄せられていたことが判明した。そのため、本国送還までに賃金を回収できるかどうかが心配だった」

 「船主と何度か連絡を取った後、船員交代や7月の賃金の支払いが行われない場合はPSCとブラジルの労働当局に通告すると警告した」

 「船主との長い交渉の末、ついに822日にサントスで船員交代が実現した。7月の賃金も支払われ、問題は全て解決した」

 デ・フレイタスが乗組員の帰国直前にホテルで彼らと面会した時、彼らはとても嬉しそうにデ・フレタイタスに感謝した。

 帰国後、乗組員はITFにメールを送り、デ・フレイタスの仕事ぶりを称賛した。

 DSソフィーバルカー号の一等航海士です。サントスのレニアルド・デ・フレイタスITFインスペクターのおかげで、未払賃金全額を船主から受け取りました。彼は常に私たちを支えてくれました」

 「いろいろとありがとうございました。家族と共にITFの皆様の一層のご活躍を神に祈ります」

 もう一人の乗組員は「レニアルドさんに感謝します。賃金全額が支払われました!」と簡単なメッセージを送った。

 未払賃金総額は$94,585.67 だった。

 

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