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航空危機に緊急の対応を

ニュース 記者発表資料

 6月17日にガトウィック空港が夏期のキャパシティ(能力、容量)を削減すると発表したことを受け、労働組合は人手不足に対する緊急措置を講じるよう航空業界に呼びかけた。 

 ITFは全航空部門の企業に対して、政府や組合と協力して基準引き上げの緊急対策を講じるよう呼びかけた。

 この呼びかけは、航空職場を選ばれる職場に復活させ、数カ月にわたり業界を苦しめている容量不足、フライト遅延、行列、サービスの低下を是正させるために行われた。  

 世界中で何百万人もの旅客がフライトの遅延や欠航に直面する中、航空業界はさらなる混乱を避けようと必死になっている。 

ITFのスティーブン・コットン書記長は次のようにコメントした。   

 「休暇を過ごす人などがようやく安心して旅行できるようになったと思ったら、コロナ下に航空会社や空港が下した決定のしっぺ返しがやってきた。今日見られる行列、遅延、欠航は、エアライン、空港、航空サービス事業全体で熟練労働者200万人超が失われた結果だ。   

 ガドウィック空港が航空労組からの雇用維持の要請や雇用水準が下がりすぎているという警告に耳を傾けていれば、今回の発表は避けられただろう。

  航空会社から空港まで、業界全体が組合や政府と協力しながら、業界を疲弊させている根本的な問題を是正しなければならない。この危機を解決するために、雇用保障、雇用基準、継続的発展を業界全体で調整し、対応することを組合は求めている。労働者の権利の維持は、航空産業の長期的なサステナビリティにとって不可欠だ。

 使用者と政府が責任をなすりつけ合っているだけでは、この危機を解決することはできない。サプライチェーンはあまりにも細分化されているため、業界全体の対応のみが解決に結びつく。政府は危機に対する持続可能な解決策を見いだすために介入し、全業界の労使と話し合う必要がある。

 組合からの報告によると、航空業界に残っている労働者が膨大な仕事をこなすために最大限の努力を続ける中、乗客の怒りのレベルは上昇し続けている」 

コットン書記長次のように続けた。  

「航空職場は今一度、労働者がやりがいを感じられるような魅力的な存在にならなけらばならない。それは、賃金水準の引き上げ、強固な安全衛生方針、雇用の安定、そして何よりも労働者の声によってのみ実現する。

 この危機の最中に、まだそれを理解していない使用者がいることが懸念される。ウィズ・エアのヨゼフ・ヴァラディCEOのように、疲れても働き続けるよう労働者に呼びかける者もいる。航空のように安全が極めて重要な産業においては、このような決断が生死を分けることもある。使用者は短期的な解決策を優先して、安全面で妥協し続けるわけにはいかない。 

 問題を先延ばしにするような短期的な解決策をとっている時間はない。組合と協議しながら、当面の課題および今後予測される課題に対して実行可能な解決策を見出さなければならない。例えば、英国では航空管制官が不足している。コロナ下に訓練生が削減されたためだが、航空管制官には3年間の訓練が義務付けられている。さらに、今後5年間に労働力の3分の1が引退すると見込まれている。

 長期的な対策を講じなければ、危機は次から次へとやってくる。企業が事業縮小を迫られる前に、政府が雇用基準や安全基準を確保するために緊急措置を講じる必要がある」 

 ITFに加盟するFNVとスキポール空港(オランダのアムステルダム)が最近締結した協約は、使用者が組合と協力して、いかにこの危機に対して持続可能な解決策を見出すことができるかを示す良い事例だ。派遣労働者や下請労働者を含む、スキポール空港の全労働者の賃金・労働条件の引き上げや安全衛生および設備基準に対する長年の懸念に取り組むことで、空港当局は選ばれる職場としての評判の回復に大きく前進した。  

 ITFは政府や使用者に対して、労働者不足を原因とする危機だけでなく、労働者が職場で発する警告にも目を向けるよう促した。

  組合の呼びかけは、ここ3ヵ月のうちに、英国のヒースロー空港と韓国の金浦空港で労働者が死亡する事故が発生したことを受けてのものだ。 

コットン書記長はさらに次のように述べた。  

 「米国等の主要航空市場のパイロットや客室乗務員は疲労を深刻な問題として懸念している。労働基準や安全基準が守られなければ、重大な事故は避けられない。航空機や空港を動かし続けるために労働者が週100時間働いているという報告も受けている。

 今こそ、すべての関係者が協力し、持続可能で強靭な航空産業を構築する時だ」

 

 

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