- 国連機関との協力のもと、海運業界と労働組合が率先して率いるサプライチェーン連合が包括的な「ロードマップ」を考案した。
- IMOが発表した12のステップから成る計画では、新型コロナウィルスのパンデミックが広がる中で、いかに船員交代を円滑化すればよいのか、政府の今後の道筋が示されている。
- 船員を拘束することにより、船員自身の健康ばかりか海の安全と世界が依存している極めて重要なサプライチェーンに悪影響が及んでいる。
船員の移動を円滑化する手続きを各国政府が調整できるよう支援するため、国際海事機関 (IMO)は今日、 12のステップから成る計画 を174ヵ国の加盟国に向けて発表し、船員を新型コロナウィルスに関連するロックダウンから解放し、船員の速やかな上船と下船を可能にするためのロードマップを提供した。
この 55ページから成るロードマップ は船員組合と国際海運業界が広く連携し、航空産業、国際団体、保険産業の代表者の意見なども参考にしながら作成されたもので、各国の政府がどうすれば船員交代を円滑にし、交代のプロセス全体で安全問題を解決できるのか、包括的な計画を示している。
国際海運規則に従って、2週間以内に、約15万人もの商船の船員の交代が必要になるだろう。現在、各国が導入した入国制限が継続しているために数万人の船員が世界中で船内に足止めされている。船員交代ができないことにより、船員自身の健康ばかりか海の安全と世界が依存している極めて重要なサプライチェーンが損なわれている。
先週の金曜は国際労働者記念日だったが、世界中で船が#HeroesAtSeaShoutoutの取り組みに参加して汽笛を鳴らした。コロナ禍でも世界を動かし続けている120万人の船員の窮状と犠牲を各国政府に思い起こさせるためだ。
国際海運会議所 (ICS) のガイ・プラッテン事務局長は次のように述べた:
「船員は世界貿易を止めないためにやるべきことをやっているんだというメッセージが海から発信された。海運界は船員を進んで支援するつもりで、政界の指導者たちとも協力している。政治家たちに正しく着実な道を歩んでもらい、船員交代を可能にしてもらうためだ」
「問題は単純なように思えるが、その解決策は複雑だ。そこで、我々はやるべき仕事に早速取りかかり、このプロトコル(手続き)を考案した。現在はこのロードマップを実施すべく各国の政府と協力している」
「船員は愛する家族から離れ、毎日毎日懸命に働き続けている。しかし、船員を新型コロナウィルスに関連するロックダウンから解放することができなければ、世界貿易はたちまち寸断され、より深刻なことだが、海難事故の発生や船員のメンタルヘルス障害を誘発することになり得る。したがって、この対策を取らないという選択肢はもはやない」
このプロトコルでは政府、船主、海運プロバイダー、船員それぞれの責任を明確に定めている。.また、世界貿易が動き続け、任務を終えた船員が下船できるよう担保するために、世界中が採択できる、力強い手続きを構築するための枠組みを提供している。
国際運輸労連(ITF)のスティーブ・コットン書記長は次のように述べた:
「今では船員組合と海運業界、ILO、IMOが力を合わせ、現在、船内で足止めされている15万人の船員が直面する困難な状況に終止符を打ち、彼らが家に帰れるよう、世界各国の政府に呼びかけている。
「船員がグローバル・サプライチェーンで極めて重要な役割を果たすキーワーカであることを各国政府に認識させることが重要であり、船員交代を可能にするために船員を一貫して新型コロナウィルス関連の移動制限の例外とするべきだ」
「政府がこの『忘れ去られた産業』から目をそむけているために、世界の船員は現場で負担を強いられている」ITF、ICS、IMOが伝えたいメッセージは明確だ。政府は「去る者日日に疎し」的感覚を直ちに捨るべきだ。このロードマップを活用し、これ以上問題が深刻かしないよう直ちに行動を起こすことを政府に強く要請する」
この重大な問題は、既に何か月も船内で勤務してきた船員を早急に交代させ、本国送還させるべきだという、人道的問題へと発展しつつある。船会社が国際法や雇用契約を遵守する必要があることに加え、乗組員の健康面の影響のみならず、重要な船の運行の安全性の面からも、船員の乗船期間を無期限に延長することはできない。
12のステップからなる解決策 では、利用できる航空便の不足などの問題を含め、船員交代の円滑化のためのグローバルな枠組みを政府に提示している。この危機の時に、世界経済の復興に国際海運が果たす重要性を考慮し、問題解決のために政府が早急に行動を起こせるよう、我々は異例ともいえるスピードでこの勧告をまとめた。
連絡先:
ITF: Luke Menzies, +61 (0) 433 889 844 or media@itf.org.uk
ICS: Duncan Bray, +44 (0) 208 638 8753 or ICS@woodrowcommunications.com
メモ:
IMOが発表した『新型コロナウィルスのパンデミック期における安全な船員交代と船員の移動の確保』と題する12ステップから成る計画はここから閲覧可能。
この計画は、国際航空運送協会(IATA)からの情報提供を受け、海運業界を代表する以下のグローバル組織が共同で作成した:ICS、 ITF、BIMCO、CLIA、FONASBA、IAPH、IFSMA、IMCA、IMEC、INTERCARGO、INTERFERRY、InterManager、INTERTANKO、IPTA、IG P&I Clubs、WSC。また、ICSに加盟する各国の船主協会やITFに加盟する船員組合に加えて、ILOとWHOもこの文書の作成にあたり、重要な情報を提供した。
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