新型コロナの変異ウイルスの感染拡大で各国政府が渡航制限を強化し、船員交代問題の影響を受けている船員の数が増加していることを海運業界は懸念している。
業界の最新の分析によると、現在20万人の船員が船員交代問題の影響を受けている。ピーク時の40万人に比べると、大幅な減少である。
しかし、変異ウイルスの感染拡大で各国政府が国境管理や移動制限を強化し始めたため、船員の乗下船が困難になっている。
これまでのところ、IMOに加盟する55か国と2つの準加盟国のみが船員をキーワーカー(市民生活に必要不可欠な労働者)に指定している。2020年12月、ILOは、各国政府は2006年の海上労働条約で規定されている船員の権利の保護を怠っているとし、「速やかに」船員をキーワーカーとして認めることを加盟国に要請した。
船員のワクチン優先接種への対応も求められる。一部の国で検討されているワクチンパスポートは船員交代の障害となりかねない。途上国の船員がワクチンを接種できるのは、早くても7月と見込まれているからだ。
「船員交代問題は解決していないが、管理しやすい状況になっている。しかし、変異ウイルスの感染拡大で各国政府が渡航制限を強化していることについては大きな懸念がある。船員をキーワーカーに指定しなければならない。船員交代問題は続いており、我々は問題解決のための努力を惜しまない。海運、つまり、船員の存在がなければ、政府は国民にワクチンを接種させることはできない」とICSのガイ・プラッテン事務局長は語った。
「船員をキーワーカーに指定し、彼らに当然の敬意を表している国がほんの一握りしか存在しないという厳しい現実がある。各国政府は、1年以上も取り続けている保守的な姿勢を転換し、船員に真の移動の自由とワクチン優先接種を保障する必要がある。さもなければ、再び制御不能の状況に陥る可能性が高い」とITFのスティーブ・コットン書記長は語った。