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ITFは、2019年10月30日~11月2日に東京で開催された第20回国際海事大学連合(IAMU)総会に出席し、海運のプロを代表して意見を述べた。
同総会には、27か国から、海事大学および海運業界の専門家180人が参加した。
IAMU事務局長の中澤武教授は、自動運航船(MASS)や自動化の開発はヒューマン・ファクターのキャパシティーを上回っていると指摘し、これらの課題に対応するため、海事教育・訓練(MET)も変わらなければならないと述べた。
また、デジタル技術、ロボット、AI、MASS等の最新技術が海運労働市場にどのような影響を及ぼすかに注目する必要があると述べた。
ITF海事安全委員会に参加するIMOのセルゲイ・アイシノフ教授は、「MASSの到来-船員に未来はあるのか?」と題するパネルディスカッションに参加し、以下を指摘した。
- GDPの成長は海運の発展および需要増につながる
- ある製造業者の楽観的な見方によると、2040年までに世界のフリートの14%に何らかのMASS機器が搭載される。
- 船舶の総ライフタイムコストは部門により異なるが、一般的には次の通りである。
資本コスト40%
燃料コスト40%
運航コスト20%(うち25%が乗組員のコスト)
乗組員のコストは、総ライフタイムコストの3〜6%
- MASSは業界全体の自動化の一環として継続され、乗組員数の削減につながる可能性が高い。よって、海事専門家の質が重要になる。
- 管理職レベルのオフィサー(職員)のスキルアップが必要である。
- 一部の機器のメンテナンスは、船内から陸上(遠隔)にシフトする可能性が高い。
- 航海士と機関士は、電気技術士と同様に追加的な教育が必要である。
パネルディスカッションでは、以下の問題についての議論もなされた。
- 2020年に1978年の船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約(STCW)の見直しが行われる。カデットと部員の需要減が見込まれる中で、カデットの積極的な航海訓練慣行の維持が確保されるべきである。今後、カデット訓練の実用性に関する調査研究を実施し、2020年にIMOで発表する予定である。
- 海運のプロに求められるスキルについても扱っているIAMUの最新の出版物「Global Maritime Professional:Body of Knowledge(国際海運のプロ:知識体系)」が紹介された。
ITFの意見・見解は、パネリストや参加者から支持された。技術が海事労働者のキャリアに変化をもたらすか否かにかかわらず、船員の真の知識、スキル、能力、経験、専門知識は高く評価される。その上で、海事産業の重要・不可欠なヒューマン・エレメントとして、教育・訓練を考える必要がある。
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