2023年4月20日配信
セントジョンズ(アンティグア) - 国際運輸労連(ITF)と国際食品関連産業労働組合連合会(IUF)が「観光労働者アライアンス」を立ち上げた。このアライアンスは、2億7千万人超の観光・交通運輸労働者の声を高めるために、ITFとIUFの活動の連携を目指すものである。
アンティグア・バーブーダで開催されたITF観光サービス部会総会で、世界の旅行・観光労働者の権利を保護し、未来を守るためのアライアンス結成に合意する覚書が締結された。
この合意は、コロナ禍で観光産業や観光に依存する経済が大きな打撃を受けたことが契機となった。コロナ禍の最盛期には、世界で6千2百万人の観光労働者の雇用が失われ、既に存在していた男女間、公式労働者と非公式労働者および外国人労働者と国内労働者との間の不平等が拡大した。
この4ヵ年の合意は、以下における協力の枠組みを提供するものである。
- 観光産業全体の組織拡大戦略を共同で策定する。
- 環境・社会・企業統治(ESG)等の重要分野に関する政策を立案するとともに、協約の履行状況をモニタリングする。
- 労働基準の引き上げを目指して、使用者、利害関係者、国際機関(国連世界観光機関を含む)に影響力を行使するための的を絞った運動(キャンペーン)を立ち上げる。
- 観光産業の持続可能な回復に関するILOの結論の採択を通じて、業界の改革を提唱する。
ITFのスティーブ・コットン書記長のコメント: 旅行・観光業の急回復は朗報だが、コロナ禍で露呈した、観光産業のビジネスモデルの欠陥から目をそらしてはならない。「観光労働者アライアンス」を通じて、観光労働者を組織し、集団としての声を上げ、世界および地域の政策を立案し、観光とそのサプライチェーン全体でより良い団体協約を確保するために、ITFとIUFの取り組みを連携させる。
IUFのスー・ロングリー書記長のコメント:「世界中で何億人もの雇用を創出し、経済の成長と社会の発展の触媒として機能する、戦略的に重要な観光産業の安全・公正かつ持続可能な未来を確保するための大きな一歩だ。観光産業が着実に回復へと向かう中、政府、国際機関、使用者は、労働組合との交渉につき、労働者を中心に据えながら、観光産業を定義し直す必要がある。結社の自由および団体交渉権は、労働条件、賃金、労働安全衛生、社会的保護、男女平等を向上させるカギである。
ITFのパディ・クラムリン会長のコメント:この合意は、国際労働運動のあるべき姿を示している。覚書を締結することで、我々は活動に勢いをつけることを共にコミットした。我々には、何百万人もの観光労働者の声を増幅する熱意、願望、コミットメントがある。今こそ社会的、経済的、環境的に持続可能な観光への移行という共通の目標を実現する時だ。
詳細はITF書記局(media @ itf.org.uk)まで