ITFは、ルビー・プリンセス号の集団感染に関するニューサウスウェールズ(NSW)州政府の調査が、乗客下船後の第二局面における政府の失策を隠蔽するものだとして非難している。
ITFは同州および連邦政府の労働党議員と共に、調査範囲を2020年3月19日以降に拡大し、当局が乗組員の健康、安全、福利を軽視していなかったかどうか、また、医療、検査、送還に関する政府の決定が乗組員やオーストラリア国民の感染リスクを高めなかったかを調査するようベレジクリアンNSW州政府首相に要請した。
ディーン・サマーズITFコーディネーターは、調査範囲が限定されているのは首相が今後の集団感染防止の教訓を学ぼうとしているのではなく、政府の失策を隠蔽しようとしている印象を与えると指摘し、次のように語った。
「ベレジクリアン首相は、特別調査委員会を設置した時、“何が起こったのかを正確に把握するまで、隅々まで調べ尽くす」と約束した。しかし、実際は、特別調査委員会の調査権限は限定的で、まともな調査を不可能にしている」
「ルビー・プリンセス号の船内で集団感染が発生して以来、当局のあらゆる対応において、乗組員の健康、安全、福利は軽視されてきたが、今、乗組員は政治家の隠蔽工作の犠牲となっている」
特別調査委員会は8日付の書簡で、委員会がITFの要請を認識していることを確認した上で、調査範囲の拡大は首相の判断次第であると述べた。調査委員ですら、ボールは首相側にあると認識している。
ITF法務部の問い合わせに対して、特別調査委員会は、2020年3月19日の乗客下船後の感染乗組員の扱い、彼らの本国送還をめぐる状況、船内の医療処置には懸念すべき点があると述べた。また、これらの問題は特別調査委員会の管轄外であるとの認識が委員の間でもたれてはいるものの、特別調査委員会は「確認された事実の重大性が反映されていない」と述べた。
ディーン・サマーズは次のように語った。「乗客下船後の出来事も調査する必要がある。NSW州政府はどのような情報に基づいてルビー・プリンセス号をシドニーからポートケンブラに移したのか?感染リスクが高まる前に、乗組員の検査や本国送還を行おうとしなかったのはなぜか?」
「乗組員に深刻な影響が及ぶ可能性があったにもかかわらず、州政府や連邦政府がルビー・プリンセス号に国内の港から出港するよう命じたことは、国際義務に反するのではないか?フラーNSW州警察長官が2020年4月19日に船内に200人の感染者がいたにもかかわらず、ルビー・プリンセス号にポートケンブラ出港を要求したことは違法でなかったのか?これらを知る必要がある」
「NSW州政府および連邦政府は、ルビー・プリンセス号の乗客と同様に乗組員の福利に対しても責任を負っている。ルビー・プリンセス号の乗組員は単に仕事に出かけたところ、当局の対応あるいは怠慢により、危険な目にあわされたに過ぎない。彼らは、自分たちを助けるために可能な限りのあらゆる手段が尽くされたかどうかを知る権利がある。何が悪かったのか、このような茶番が二度と起こらないようにするにはどうしたらよいかを知る権利がある」
政府の不適切な対応により乗組員が感染したと確信するITFは、乗組員のために正義を追求していく。
ディーン・サマーズは続けた。「州政府および連邦政府は厳しい質問に向き合い、どこで誤ったのかを認めてほしい。これこそ、オーストラリア海運史上最悪規模の労災に見舞われた乗組員に対して行うべきことだ」
「ベレジクリアン首相から正義を得られなければ、首相が過ちを認めるよりも隠蔽を選ぶならば、我々はこの問題を連邦政府に持ち込み、隅々まで調べ尽くす」
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