先週、経営難が続いていたトーマス・クックが破産を申請した。英国人観光局15万人が旅先で足止め状態となったほか、英国勤務の労働者9千人と英国以外の勤務地の労働者1万3千人が失業や賃金未払いの問題に直面している。30日は給料日だったが、労働者に給料が支払われることはなかった。
英民間航空局(CAA)は旅行者を帰還させる非常事態計画を発動した。旅行者の多くは、政府または旅行業界の保険制度(ATOLまたはABTA)でカバーされる。しかし、英国以外に勤務する労働者を保護するものは、トーマス・クック自身の事業保険しかなく、これすら有効でなくなった。つまり、何千人もの低賃金の労働者は、帰国費用を自分で捻出しなければならない事態に陥っている。
英国の企業破産手続きは、債権者や投資家の利益を他の利害関係者(顧客、納税者、労働者等)の利益よりも優先させる。昨年、同社の業績予測は低迷していたにもかかわらず、CEOは102万ポンド(127万ドル)の報酬を受け取っていた。
ITF民間航空部会のガブリエル・モチョ・ロドリゲス部長は次のようにコメントした。「英国を含む多くの国には、交通運輸企業が倒産した場合に顧客を保護する制度が存在する。トーマス・クックの顧客を気の毒に思うが、労働者にはこのような保護制度が存在しないことを認識しておく必要がある。大勢のトーマス・クック元社員が、給与が支払われるかどうか、また、どのように帰国したらよいか分からないまま、顧客にサービスを提供し続けている」
「トーマス・クックの労働者は、国際経済情勢が悪化している最中に失業に直面している。少なくとも、全ての労働者を自己負担なしに帰国させ、これまでの労働(経営陣がもたらした混乱の収拾作業を含む)」に対する賃金を全額保障すべきだ」
ITF加盟ユナイトは、トーマス・クックの労働者の支援基金を立ち上げた。 基金の詳細はこちらへ: https://www.gofundme.com/f/thomas-cook-cabin-crew.
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