推定20万人の船員に影響を及ぼしている船員交代の問題で、各国政府に圧力をかける労働組合の運動が加速している。今週、アメリカとウクライナの組合がオーストラリアの組合に続き、この問題の早急な解決を要求した。
米国の6つの海事組合の委員長が、海外に足止めされているアメリカ人船員の緊急支援を求める書簡を国務長官と国防長官に送付した。書簡の署名者は、SIUのマイケル・サコ委員長、 AMOのポール・ドエル委員長、MEBAのマーシャル・アイリー委員長、MM&Pのドン・マーカス委員長、SUPのデーブ・コノリー委員長、MFOWのアンソニー・ポプラウスキ委員長である。
「アメリカ人船員は貨物船内に足止めされています。行き過ぎたロックダウン措置のために、出国することも帰国することもできずにいます。この人道危機が早急に解決されなければ、海外に駐留する20万人の現役軍人に不可欠なサプライチェーンに影響が及ぶかもしれません」と委員長らは警告した。
「世界中に軍事基地、軍用機、軍用施設を持つ、世界で最も裕福で力のある米国が、海上で足止めされている自国船員を救済できないはずがありません。しかし、これまでのところ、貴省職員と共にこの問題に取り組んできた我々の努力は何の成果も生み出していません。貴殿のご理解ご協力をお願い申し上げます」
米国の組合に続き、ウクライナ海運労組(MTWTU)のミハイロ・キリエエフ委員長も28日、ウクライナ大統領と首相に書簡を送った。 MTWTUはITFに加盟する世界最大規模の船員組合だ。
MTWTUはITFのスティーブ・コットン書記長と共に、「ウクライナ人船員の権利と正当な利益を守るために、また、船員交代の促進を目的とする国際機関の勧告を適切に実施させるために、可能な限りのあらゆる手段を講じること」をウクライナの組合指導者に要請した。
定期的な船員交代は不可欠だ。ウクライナ政府は、世界の船員がウクライナの国境を越えて移動や帰国ができるように「例外規定」を設ける必要がある。
これに先立ち、ITFのパディ・クラムリン会長は、ITFとオーストラリア海事組合(MUA)を代表して、この人道危機を回避するために直ちにリーダーシップを発揮するようオーストラリア首相に要請した。
これらの要請は、コロナ禍において船員、港湾労働者、漁船員を「キーワーカー」として扱い、彼らの貢献を認めることを求めるグローバルな運動を後押ししている。
船員を長期間乗船させ続ける船は入港国当局に拘束される可能性があることが海事条約で定められている。
国際貿易、世界の何十億もの人々、そして有権者に必要とされる船舶の運航を続けながらも、精神的・肉体的に疲れきっている船員が増えている今、政府が行動を起こさないことのリスクはあまりにも大きい。
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