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フィリピン人船員をコロナから守るため、労使が協力

ニュース 記者発表資料

国際運輸労連(ITF)と国際海事使用者委員会(IMEC)は、世界に広がる船員交代危機の中、新型コロナウィルス感染症の感染拡大を最小限に抑えようとする各国政府の懸念に対応することで、より多くのフィリピン人船員を上下船させる目的で、マニラで隔離と検査プログラムを補強し、その運用を開始した。

1028日に開始されたプログラムの概要は以下の通り:

  • マニラの評判の良いホテルチェーンのホテル2つと契約し、安全な隔離室を300室確保。
  • 14日間の隔離を確保するため、24時間365日の保安・監視体制。
  • 船員の帰国後および乗船前に最も優れた水準のPCR検査を実施。
  • ブロックチェーン改ざん防止テクノロジーを使用した検査結果の安全な認証。
  • 5人以下のグループ(運転手を含む)ごとの空港への安全な交通手段の提供。
  • 検査結果証明書の認証と、不必要な隔離時間の短縮、乗組員の交代の量的改善のため、各国政府とその入国管理局や港湾当局との連携を模索。

隔離および検査施設とそのプロセスについては、第三者機関の監査を受けた後、いわゆる「ホワイトリスト」に登録され、継続的な規則遵守を確保するために定期的な監査を受ける。 

ITFのスティーブ・コットン書記長は、同プログラムは、「コロナ禍の世界」で解決策を提供するために労使が協力していることを示している」と述べた。

「新型コロナウィルスと当面、共存しなくてはならない現実がある。ワクチンがない以上、皆が協力し、現在よりもずっと大きな規模で船員を安全に上下船させる必要がある」

「安全と環境上の理由から、乗組員を乗せずに船を港に停泊させたままにすることはできない。乗組員が下船するには、「交代の船員」が一列に並んで待機している必要がある」

ITFの意見としては、このシステムは、交代の船員を迅速に上船させ、既に長期間にわたり乗船を続けてきた船員が帰国する権利を行使できるようにするための最も安全な方法だ。船員が管理され、監視された状態で隔離されてきたことを国が証明し、PCR検査で2回陰性になった船員の入国を許可する方が、帰国時に船員を隔離するより遥かに安全かつ効率的だ

「多くの政府が何ヶ月にもわたり、殆ど何も行動しなかったために、船員交代問題が解決できずにいるが、政府の身から出た錆だ。その影響は船員や労働組合、使用者に及び、そのため、船員を海上の刑務所から解放し、また、仕事をして賃金を稼ぎたいと切望する交代の船員を上船させるため、今回のような現実的な解決策を労使が見出さざるを得なくなったのだ」とコットン書記長は述べる。

このプログラムは、フィリピンのITF加盟組合のAMOSUPPSUが支援しており、AMOSUP国際海事訓練基金から助成金として拠出された「元手資金」により可能になった。同基金はフィリピン人船員の福利支援にのみ利用できる。

IMECの議長を務めるベラル・アフメド船長は、フィリピンで実施されている新型コロナウィルスの検査の信憑性と、交代でこれから船に乗り組む船員を対象に行われている上船前隔離プロセスの効力について、懸念の声が多くの船員交代ハブで上がったため、労使がより現実的な解決策の必要性を痛感したことをきっかけにこのプロジェクトが考案されたと述べた。

「『船員は適切に管理され、監視された環境で検疫を行い、その結果は陰性だったのだから、船員に仕事をさせて欲しい』各国にそう言えるよう、テクノロジーとプロセスの面で問題を解決する必要があると感じた。  この新プログラムにより、我々は今、自信を持ってそう主張することができる」

PCR検査の結果証明書の改ざんを防止するためのブロックチェーン・テクノロジーを提供したソフトウェア開発者から意見も聞いている。フィリピンの新しい隔離施設は、シンガポールのSHN(ステイホーム通知)規則をベースとする厳格なガイドラインに従って設置された。船員が船に乗る前に少なくとも14日間、新型コロナウィルス感染症に感染していないことを確認するために必須のシステムだ」とアフメド議長は述べる。

現時点では、同プログラムとその施設の利用はIMEC加盟企業に限られる。

「今後数週間、このプロセスの状況を観察していく。期待している結果が得られれば、より多くの船員交代支援へと拡大する予定だ」


「これがコロナ対応のモデルとして役立つことを期待している。  この種の革新は、現下の人道的危機を終結させるためには極めて重要だ」とアフメド議長は語った。


同プロジェクトでは、今月初めにノルウェー船主協会が立ち上げた類似のプログラムと同じホテルを利用する。

注釈:

  • ホテルの利用は1028日から可能だが、予約は既に始まっている。
  • 予約の際は、下記のサイトから同プロジェクトの予約コーディネーターにリクエストを送って欲しい itfimeccrewchange@amosup.org
  • このフローチャート では、プロジェクトのプロセスがより詳細に示されている。

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