オーストラリア海事安全局(AMSA)は、海事業界で働く女性船員の数を増やすことを目的としたフォーラムから労働者代表を排除したため、政治やイデオロギーの問題を持ち込んでいるとして非難されている。
ダーリングハーバーにあるオーストラリア国立海洋博物館で開催されたこのイベントには、国際海事機関(IMO)のキータック・リム事務局長よる基調講演の他、官僚や企業によるプレゼンテーションが行われたが、労働者の代表は発言の機会を与えられなかった。
ノルウェー船員組合の前委員長で、現在はITF海事コーディネーターを務めるジャクリーン・スミスは、「AMSAのアプローチは、海事部門への女性の就職を促進するための世界的な取り組みから逆流している」と述べた。政労使の協力が昨今の世界的潮流となっているからだ。
「今年初め、40カ国以上の政労使の代表がジュネーブに集まり、女性船員の採用と女性が船員として働き続けることを妨げている障壁を打破するために計画を策定したばかりだ」とスミス海事コーディネーターは述べる。
「世界的に見ても、政労使三者間の協力が、海運業界にこの重要な変化をもたらすための要であるというコンセンサスが形成されている」
「こうした生産的な取り組みを支持するどころか、オーストラリア海事安全局は、イデオロギー的な理由から船員の代表を積極的に排除することで、反生産的な行動に出ているように思われる」
「女性は世界の船員人口のわずか2%に過ぎないと言われているが、海運業界の労働者の積極的な参画と関与なしにこの状況が変わることはない。女性船員の奨励に関するイベントに、女性船員を実際に代表する組合を招待しないなど信じ難い」
ITF会長を務めるパディ・クラムリンは、労働者代表がこのイベントに招待されなかったことにIMOも懸念を抱くだろうと述べた。
「国際労働運動ほど、これまで女性船員の採用、定着、昇進を訴えてきた組織はない。それにも関わらず、AMSAにとっては実際に海運業界の変化を促進するよりも、政府のご機嫌を取ることの方が重要なようだ。政治的に独立しているはずの規制局が組合敵対的な連立政権に組しているように見える」
「組合が除外されたのは、組合を招待すれば、より多くの女性に海事産業で働いてもらえるために何をするのが最も効果的かを力説することをAMSAが知っていたからだろう。つまり、連邦政府が外国の便宜置籍(FOC)船に内航海運従事の許可書を与え、オーストラリア人船員の雇用を奪うことを止めればいいと組合代表が述べることが推測されたからだ」
「国際的な最良慣行と優れたガバナンスよりも、政治的イデオロギーの問題を重視するこの決断は、組合の代表者にも発言させるべきだと提言したIMO事務局長の顔にも泥を塗る行為だ」
「全てのソーシャルパートナーに平等に参加する機会を与えないという今回のAMSAの決断は、全てのIMO条約の精神に反するものであり、現連立政権下におけるAMSAの独立性にさらに疑問を抱かざるを得ない」とクラムリンITF会長は締めくくった。
さらに詳しい情報はITFのルーク・メンジーズ( +61 (0) 433 889 844 or email menzies_luke@itf.org.uk)までお問い合わせを。
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